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文字数 695文字
裕丈は津村からの電話を切ると、すかさず「アルジェール」という名のワンルームマンションをネットの地図検索に掛けた。
(市街地の東寄り、幹線道路沿いか)
地図及び経路検索で確かめると、どうやらここから充分に徒歩圏内のようだった。が、事が事だけにゆっくり歩いている時間に猶予はない。
バットケースを背中に回し掛け、風呂敷包みを小脇に抱えると、すかさず駆け出した。
ひた走りに走る。
角を折れて、後方からの車両の有無を確かめては道を渡るのを繰り返す。まずは息が切れるまで全力で走るつもりが、不思議といつまでも身体は軽かった。おそらく、アドレナリンが出ているのだろう。彼は思った。
(これならパトカーが着くまでに、それどころか犯人が逃げるまでに現場を押さえられるのでは)
十数分ののち、アルジェ―ルに到着した。その正面玄関の前に立つと、裕丈はマンションを見上げた。
(7階建てか)
正面から中へ入ると、薄暗いダウンライトが照らすこぎれいなロビーがあった。それを見る限り、マンションは築浅のようである。
管理人室を覗くと電灯がついていたが、誰もいないようだった。その前を通り抜けて奥にある集合ポストの前に立つ。目的の405号室に「三上」という名があった。踵を返しエレベータに忍び入ると、4階のボタンを押した。
再び扉が開いてエレベータホールに歩を進める。左右に薄暗い照明の廊下が延び、扉が並んでいた。ほどなく405号室のドアの前にたどり着く。
聞き耳を立てるが、声や物音は聴こえない。
間違いはないか、もう一度部屋番号を確認する。左右に目を配って通路に人気がないことを慎重に確かめた。
彼は、意を決した。
(市街地の東寄り、幹線道路沿いか)
地図及び経路検索で確かめると、どうやらここから充分に徒歩圏内のようだった。が、事が事だけにゆっくり歩いている時間に猶予はない。
バットケースを背中に回し掛け、風呂敷包みを小脇に抱えると、すかさず駆け出した。
ひた走りに走る。
角を折れて、後方からの車両の有無を確かめては道を渡るのを繰り返す。まずは息が切れるまで全力で走るつもりが、不思議といつまでも身体は軽かった。おそらく、アドレナリンが出ているのだろう。彼は思った。
(これならパトカーが着くまでに、それどころか犯人が逃げるまでに現場を押さえられるのでは)
十数分ののち、アルジェ―ルに到着した。その正面玄関の前に立つと、裕丈はマンションを見上げた。
(7階建てか)
正面から中へ入ると、薄暗いダウンライトが照らすこぎれいなロビーがあった。それを見る限り、マンションは築浅のようである。
管理人室を覗くと電灯がついていたが、誰もいないようだった。その前を通り抜けて奥にある集合ポストの前に立つ。目的の405号室に「三上」という名があった。踵を返しエレベータに忍び入ると、4階のボタンを押した。
再び扉が開いてエレベータホールに歩を進める。左右に薄暗い照明の廊下が延び、扉が並んでいた。ほどなく405号室のドアの前にたどり着く。
聞き耳を立てるが、声や物音は聴こえない。
間違いはないか、もう一度部屋番号を確認する。左右に目を配って通路に人気がないことを慎重に確かめた。
彼は、意を決した。