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文字数 541文字

「ジャン、あたしたちが、そこまでする理由も法的権限もないでしょ?」
「ジェーン?」
 すぐにマイケルが割って入る。
「そもそも身内を虐げた連中を見つけ出し、フェアな処罰を受けさせたいがために参加しているのに、大した落ち度もない一般市民の平穏な暮らしに踏み入って荒らすことは、むしろ自分たちがその連中と何も変わらなくなります! 違いますか?」
 そのようにいわれ、ジャンは幾分目を細めたが、静かに受け止めたようだった。

「ジェーン、止めなよ。そんなことをいって。どうなってもいいのか?」
 マイケルが真白を制して、そう被せるようにいったが、小さな自分だけの幸せに捕らわれて議論に水を差すような彼の言動に、彼女は余計に苛立ちが収まらない。
 肘掛けに左右の拳を叩きつけて立ち上がった。マイケルに身体を向けると鋭い目線を走らせた。
 顔面に走る震えが止まらなくなる。

「何ですか! マイケルさんもマイケルさんで、そうやってあたしと線引きして保身を図っているだけじゃないですか! 所詮他国の人間のことだからですか? あ、あなたの胸には、良心もプライドもないんですか?」
「何で、そんなことを言うんだ? 君を思ってだろ? 冷静になれよ」
 二人のやり取りを聞き流していたジャンは、肩で息をする真白の背中を一瞥した。

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