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文字数 561文字
ここで男は「むう」とうなって、低い姿勢のままローキックでBBの足を払おうとする。が、BBは間一髪、跳びあがった。
その着地を狙って、男はまっすぐに腕を伸ばしてナイフで刺そうとしたが、BBはその手の伸び切ったところを見極めて、その手首を甲の側からひっつかみ、内側にひねった。
「だ!」
男が驚きの声を上げると、BBはその肘をバットのグリップエンドで強く突いた。
ナイフが宙に飛ぶ。
(!)
真白は、すかさず後ずさりした。
それを眺めていたマイケルは息をつき、つぶやくようにいった。
「これで勝負あったな」
打たれた肘を空いた左手で押さえながら、男は後退して隣の部屋の入り口に立った。
「拙者そして沙織が貴様に奪われし物を、貴様もまた、今ここで失うがいい」
BBはバットを顔の横に構えると、男を睨み据えた。
男は、無表情になり両手を上げる。
さんざん挑発的な態度を示してきたわりに、意外に淡白な終わり方だと真白は拍子抜けした。
自分に力を感じなくなれば、誰でも最後はそうなるのかもしれない。そう思い当たって真白は、ふと感慨にふけった。
それでなのか、BBの身体中の毛穴から吹き出していた殺気が、ついに収まりを見せた。
その様子を見守っていたマイケルと、粘着テープで口を閉じられ拘束されていたカップルは、このひと時を静かに迎えている。
その着地を狙って、男はまっすぐに腕を伸ばしてナイフで刺そうとしたが、BBはその手の伸び切ったところを見極めて、その手首を甲の側からひっつかみ、内側にひねった。
「だ!」
男が驚きの声を上げると、BBはその肘をバットのグリップエンドで強く突いた。
ナイフが宙に飛ぶ。
(!)
真白は、すかさず後ずさりした。
それを眺めていたマイケルは息をつき、つぶやくようにいった。
「これで勝負あったな」
打たれた肘を空いた左手で押さえながら、男は後退して隣の部屋の入り口に立った。
「拙者そして沙織が貴様に奪われし物を、貴様もまた、今ここで失うがいい」
BBはバットを顔の横に構えると、男を睨み据えた。
男は、無表情になり両手を上げる。
さんざん挑発的な態度を示してきたわりに、意外に淡白な終わり方だと真白は拍子抜けした。
自分に力を感じなくなれば、誰でも最後はそうなるのかもしれない。そう思い当たって真白は、ふと感慨にふけった。
それでなのか、BBの身体中の毛穴から吹き出していた殺気が、ついに収まりを見せた。
その様子を見守っていたマイケルと、粘着テープで口を閉じられ拘束されていたカップルは、このひと時を静かに迎えている。