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文字数 609文字
急ぎ足で歩き抜ける街の光は、どこまでも爽やかで穏やかな春めいた日差しだった。それもこれから、悪事を働く人間を見極め対峙する任務に入る裕丈の胸の奥には到底届かない。
袈裟懸けの背負ったバットケースを揺らしながら風呂敷包みを持つ袴姿の裕丈は、時々すれ違う通行人には奇異の目で見られた。
彼は、呼吸を速め草履の擦る音を立てながら、黙々と北東方向に歩いて二十数分、やがて指定されたと思われる場所に到着した。
一戸建て住宅の多い、閑静な住宅地である。
ある大きな邸宅の塀に沿って、大型の黒いボックス車が三台ほど縦に並んで停まっていた。見た目に異様な圧迫感を感じる。
それらの中には誰も乗っていないようだった。
スマホの地図で現在位置を確認し、目的地到着と任務開始をフレッドにメッセージで伝えた。
ヘルメットを被るなり裕丈は車列の前に出て、男らの話し声がする方向へ目を走らせた。そこには、とある住宅の正面に立つ三人の人影があった。
よく見ると少し前、食堂で見かけたことのあるチームメンバーである。輪になって話すその三人のそばへ寄ると声を掛けた。
「加勢に参った」
彼らが顔を向けると、裕丈は会釈して名乗った。
「BBと申す」
真ん中の薄い色のサングラスを掛けた中年男が、手を伸ばし握手を求めてきた。
「私は、305のジャンだ。そして、こちらがマイケル、そしてジェーン」
若い二人は、無言ながら軽く目を伏せて、あいさつする仕草を見せた。
袈裟懸けの背負ったバットケースを揺らしながら風呂敷包みを持つ袴姿の裕丈は、時々すれ違う通行人には奇異の目で見られた。
彼は、呼吸を速め草履の擦る音を立てながら、黙々と北東方向に歩いて二十数分、やがて指定されたと思われる場所に到着した。
一戸建て住宅の多い、閑静な住宅地である。
ある大きな邸宅の塀に沿って、大型の黒いボックス車が三台ほど縦に並んで停まっていた。見た目に異様な圧迫感を感じる。
それらの中には誰も乗っていないようだった。
スマホの地図で現在位置を確認し、目的地到着と任務開始をフレッドにメッセージで伝えた。
ヘルメットを被るなり裕丈は車列の前に出て、男らの話し声がする方向へ目を走らせた。そこには、とある住宅の正面に立つ三人の人影があった。
よく見ると少し前、食堂で見かけたことのあるチームメンバーである。輪になって話すその三人のそばへ寄ると声を掛けた。
「加勢に参った」
彼らが顔を向けると、裕丈は会釈して名乗った。
「BBと申す」
真ん中の薄い色のサングラスを掛けた中年男が、手を伸ばし握手を求めてきた。
「私は、305のジャンだ。そして、こちらがマイケル、そしてジェーン」
若い二人は、無言ながら軽く目を伏せて、あいさつする仕草を見せた。