7(2)

文字数 694文字

「ええ、まあ」
その隣で大人数の酒の場が苦手な真白も顔をしかめた。
「わざわざ警察が出向くことはない案件をカバーするのも、僕らの任務だ。そう、てこずることもあるまい。一網打尽で、さっさと終わらせて仮眠でも取ろう」

 その駐車場の入り口まで来ると、一台の同型車がハザードランプを付けて止まっているのが見えた。「49の奴らだな」マイケルはつぶやいた。
 マイケルのパッシングの応えるように、前の車両から人影が出てくる。
 頭の禿げた丸顔の男が、二人の車に近寄ってきた。作業服姿で、あたかも工場勤務帰りといった風情である。

 運転席の窓を開けたマイケルが、その男に向かって「305です。支援します」と声を掛けた。
「わしはハーマンだ。ジャンから聞いていると思うが、この場はわしが取り仕切る。よろしく」
 ハーマンが前の車両を尻目に見て手を上げると、ハザードランプが止み、やがて二人の人間が出てきた。二人ともハーマンと同じ格好だが、いかにも胸板が厚く、腕が太いのが見て取れる。70センチほどの長い棒状のものを持っているが、それが地面を擦ったときに鉄パイプであることが分かった。

 マイケルは縁石に沿って車を停め、エンジンを切った。
 ドアを開けた真白は、助手席の下に噛ませていた警棒を手にする。
「ジェーン」
運転席のマイケルが下手で、ナイロン袋を放り投げた。
「こいつの出番かもな」
 真白が袋の中をのぞくと、黒い筒状の容器が数本入っていた。
「催涙スプレーだ。ジェーンは使ったことあるかい?」
「いえ」
 マイケルは、親指を立てると片目をつむった。
「ポリスマグナムという強力な液状タイプだ。下手なハリウッド映画より泣かせるぜ」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み