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文字数 525文字

 この前目にしたハーマンらの一般市民への態度や暴行から察するならば、この惨状は決してBBの悪意や残虐性、変態性によるものではない。むしろ、ハーマンらの自業自得ではないのだろうか。
 真白はそう思うと、目の前のことが幾分白々しい光景に映った。

「マイケル、ジェーン、この一帯を手分けして見て回るぞ。13のメンバーは、この辺りのどこかにいるはずだ」
 ジャンは区画ごとに三手に分かれてBBあるいは13と遭遇したら、三人のあいだで互いに連絡を入れ合うことを指示した。
 奥の区画を指示された真白は、足早にそこへ向かった。
 軽い駆け足のさ中も、彼女はしっかりと耳を澄ませていた。
 陽は高くなりつつあったが、休日の午前中とあって家々は色鮮やかに映えるばかりで、人の気配はなく、ひっそりと静まり返ったままだった。それがまた真白の胸にそこはかとない緊張と恐怖を掻き立てた。

 彼女がちょうど四つ角に立って、周囲に目を走らせていたときだった。
 突如として静寂が破られた。
「ふぎゃうおおう!」

(!)
 すぐそばで聞こえた、おどろおどろしい叫び声に、真白は背中が泡立つのをおぼえた。
(……何? この化け物じみた声は?)
 おもむろに顔を上げる。
 二階建ての集合住宅がほぼ正面に見えた。
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