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文字数 579文字

 マイケルは、真白の肩を揺すった。
 マーシーが尖った髪を振り振り、いった。
「そーゆーこと。それじゃあ行くよ。あんたら、いいかい? きっかり65秒後に発車するぜ! 用意しな!」
 その掛け声に反応してトザキが、小太りな身体に似合わず俊敏な動きで部屋を飛び出していった。
 それを見ていたマーシーがマイケルの脇に立った。
「じゃあ、ルイ、必ずまた連絡くれよ」
「もちろん」
 二人は、グータッチを交わした。
 マーシーがそのまま颯爽と出ていく背中を見送ると、マイケルはスマホを取り出し、何度かタップした。「救援要請信号、これでよし……それでだが、BBさん、最後に頼みがある」
「何なりと」
 BBはヘルメットの鍔を左右に振り、被り直した。
「僕を何かで縛ってくれないか。僕もあなたにやられたふりをすれば、今日のことで僕には嫌疑はかからない」
「なるほど。承知した」
 BBは目を走らせ、玄関のスタンドライトに近寄った。それをコンセントから外すと、マイケルを後ろ手に縛った。
 マイケルは、それが簡単に緩まないのを確かめると、床に寝転がった。「オッケ! それじゃ、ジェーン、元気で」
「マイケルさんも!」
 真白がそういうと、彼はウィンクした。
 BBは、さっと頭を下げた。「かたじけない」

 唐突に、空ぶかしするけたたましいエンジン音が聴こえてきて、それに煽られるように二人は部屋を急いで出た。
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