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文字数 356文字

「わー!」
 自然と出た掛け声と共に力任せに警棒を振り抜くと、男の左側頭部にヒットした。
「……ら?」
 男は奇妙な悲鳴を発して、一旦ひるみはしたが、それでもその手を真白に伸ばしてくる。
 若干目の焦点が泳いでいるが、それでも己の征服欲を満たすことに執着しているように見える。
(ば、化け物?)
 そのような人間と関わりを持ってしまったことを、真白は激しく後悔した。
 人通りのない夜道を歩くときは、もっと周囲に目を配るべきだったし、耳を澄まさねばならなかった。
 気が緩んでいたのだろう。人の気配は、背中を押されるまで感じなかった。

(ほんと、あたしはバカだ! ……けど、今ここで自分を責めても始まらない!)

 今は目の前のことに集中しなくては、明らかにこちらに悪意で臨んでくる人間の相手などできない。
 真白は自分をそう叱咤した。
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