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文字数 482文字

 アパートの部屋のような狭い場所では、長さのある武器は返って邪魔になる。それが暴力沙汰の経験のない真白の目にも見て取れた。
 BBの牽制気味に差し出してくるバットには、男はまるで反応しない。その唇が意地の悪い笑みで歪んでいた。
「さあ、来いよ、ブンブンブンのミツバチ野郎」
 男は、愉快そうにいった。

 もし、ここでBBがこの三人組のボスに撃退されたら。そう思うと、真白はBBと自分の無念さに息が詰まりそうだった。
(そんな道理はないよ。こんな理不尽、あり得ないから!)
 BBの額に汗が浮かんだ。
 それを目にしたのか男は、空いた方の手でアパートの玄関を指さした。
「逃げるなら今のうちだぜ?」
「笑止!」
 そういうなりBBが正面から振り下ろしたバットから、男は一旦身を引いてかわすと、ナイフを持った手をバットにぐるぐると巻き付けるようにして接近した。
 その刃先がBBの手首に迫ったとき、BBは力任せに左へ払った。男もそちらへ振られて態勢を崩す。そこへ、すかさずBBがバットを右へ水平に返したが、男は予測していたのか、しゃがみ込んで直撃を逃れた
BBは舌打ちした。
「こしゃくな!」
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