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文字数 563文字

 互いに通り一遍のあいさつを交わすと、女性に促されるままソファに腰かけた。

 マイケルはドアのそばまで引き下がって、腕を組んで壁に凭れるとこちらを見た。
 やがて真白の到着を聞いてやって来たのか、市長代行の門脇が応接室に入ってきた。その顔には温厚そうな笑みを浮かんでいる。

 ソファに向かい合って座っていた二人が立ち上がり、頭を下げた。壁際にいたマイケル、カメラマンは口々に「おはようございます」と門脇に向かって声を掛けた。
 門脇が「よろしく、どうぞ」といい、ソファに掛けた。

 女性が小型のボイスレコーダーの電源を入れると、テーブルの上に置いた。
「それでは、さっそく始めてまいりたいと思います! 私は、インタビュアの栗橋と申します! よろしくお願いします!」
 門脇を含めた三人が座るなり、インタビュアの女性がそう切り出した。その気負った口調が、真白をさらに気後れさせる。

「飯村さん! 自己紹介をお願いします!」
(え? やっぱ無理無理)
 真白は、困惑顔でマイケルにちらりと目をやった。彼は無言でウィンクをすると、手の平を上に向けて小さく差し出しながら顎先を突き出して「どうぞ」というジェスチャーをした。
 突き放すような彼の態度に首をすくめて見せた真白は、栗橋を見て小声で名乗った。

「飯村真白です。二十歳、須波大学社会学部の二回生です」
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