第109話 ちっちゃ可愛い三つ編み女子こと、総てを凌駕する窓口女子

文字数 1,553文字

 昨日は夕方迄家で地上波放送を見ていた私。
 すると1日中紀州のドンファン殺害で、須藤早貴容疑者逮捕の報道が流れていた。
 どのチャンネルを廻してもそのニュース。
 いい加減名前も顔も覚えると言うもの。
 被害者も金だけなら未だしも、命迄取られるとは思ってもいなかったろう。
 被害者の野崎氏のご冥福をお祈りしたい。

 何でも殺害前には、容疑者と被害者の間で離婚話が持ち上がっていたらしい。
 地上波放送では報道されていなかったが、離婚話の原因になったのは、須藤早貴容疑者が結婚前アダルト動画に出演していたからだとか。
 そうしてセクシー女優の経験が有った事を被害者の野崎氏には黙っていて、殺害前その事が発覚したのだそうだ。
 その他にも整形疑惑だとか、被害者の葬儀の際も笑顔でサイコロステーキを食べていただとか、須藤早貴容疑者に対する醜聞が絶えない。

 そうなると例えば須藤早貴容疑者の所持していたバッグのブランドや、着ていた服のブランドのイメージダウンは避けられない。
 無論そのブランドには何の罪も無く単なる不可抗力に過ぎないのだが、イメージの欠損だけは思わぬ処で起こるものなのだ。
 私でさえ須藤早貴容疑者のようなモデル体形でサラサラのロングヘアーには、本来抱くべき好イメージから一転酷く悪いイメージを抱いてしまったのだから、何をか言わんやである。
 と、言う訳で、今後私もイメージや先入観で物事を判断してはならない、と、心に誓い新宿の街へ。

 実は一昨日買ったスクラッチくじで高額と言う程ではないのだが、1000円余計に当たったのである。
 現在スクラッチくじがキャンペーン中で、10枚分2000円買えば必ず30%還元。
 即ち600円必ず戻って来るのだ。
 と、言う事は、もう一度10枚買ってチャレンジしても、現在手にしている当たりくじ1600円が有れば400円出せば買えるし、600円絶対戻って来るから200円の儲けだ!
 と、阿保な私は、この時点で結局2回チャレンジして1800円浪費している事に気付いていないのである。
 買って帰り、削って、その後で漸く気付く阿保っぷりなのである。

 兎にも角にも新宿に辿り着き、窓口の前に立った私。
 と、2つの窓口に、2人の女子が、其々窓口に座っていた。
 実はこの売り場なのだが、他の窓口がマダムもしくは主婦が中枢を占める宝くじ窓口業界にあって、唯一アルバイトの20代女性が多数在籍する窓口なのである。
 2つの窓口共に順番を待っている人は居なかったので、どちらの窓口でも買える状況。
 そこで私は迷わず右側の窓口へ。
 何となれば右側にはマスク越しにもちっちゃ可愛い、髪の毛を三つ編みにした女子が座っていたからである。

 今日はツイてる。
 当たるかも知れない、と、期待に胸が弾む。

 そうしてスクラッチくじを購入し、大変満足して帰途に就いた私であった。 
 と、暫くして、今後私もイメージや先入観で物事を判断してはならない、と、心に誓った筈なのに、早くも我知らず禁を破ってしまっていた事に気付いたのである。
 何故なら左の窓口にはマスク越しにもモデル体形と思しき、サラサラのロングヘアーの女子が座っていたからだ。
 何とも先入観やイメージに左右された私。
 今後反省しなければならない。

 そうして部屋に戻りスクラッチくじを削ったのだが、そんな私に神が幸運を齎そう筈も無く、見事に高額当選を外してしまった。
 それでも買ったのがちっちゃ可愛い三つ編み女子で良かった、と、全く懲りない阿保な私。

 と、ここで一つ。
 先入観やイメージで物事を判断すると幸運は遣って来ないが、それでもその先入観やイメージが有ろうが無かろうが、ちっちゃ可愛い三つ編み女子に勝る者は無く総てを凌駕するのだ、と、恐惶謹言させて戴く。
 かしこ。
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