第119話 ポジティブボディの女性こと、何に付けてもポジティブな女性
文字数 1,522文字
昨日の夕方遂に資金不足に陥り、私は頑張って貯めたポイントでの買い物に望んだ。
たとえ数千円分でも、無料で買い物が出来ると言うのは有難い。
何時もの新宿の百貨店で、悠々と買い物を済ませ帰途に就いた私。
食糧も無料で確保出来た事だしコーヒーを飲むくらい良いか、と、新宿でチェーンのコーヒーショップにコーヒーを飲みに入った時の事。
私は注文したアイスコーヒーを受け取り、空いている席に座った。
するとその直後に淡いピンクゴールドの髪色で、ピンクのジャケットにショートパンツを履いたポジティブボディの女性が入店して来た。
年の頃なら20代前半か。
やがて彼女はドリンクを持って私の隣席へ。
と、奥のベンチシートに座ればいいのに、何故か手前の一人掛け背凭れ椅子に腰掛けた。
誰かと待ち合わせでもしているのだろう。
そして徐にハンドミラーを出して来たかと思うと、鏡越しに自身の顔を見詰めながら頭にクリップ式のリボンを着けたのだ。
左右に一つずつこれまた色はピンクである。
何故そんな事をするのか、その時点ではその意図が分からなかった私であったが、後にその意図を痛切に知る事になる。
少ししてポジティブボディの女性の連れの女性が遣って来て、私の直ぐ隣りの奥のベンチシートに腰掛けた。
ポジティブボディの女性と同世代の女性だ。
やがて2人してダイエットの話をし始めた。
後から入店して来た女性はポジティブボディとは程遠いスタイルの良い女性だったが、聴こえて来た話によると、どうやら連れの女性も元はポジティブボディだったらしく、2人は同じジムに通うダイエット仲間らしい。
それにポジティブボディの女性も現在ダイエット中で、既に15キロ程痩せたのだとか。
うーん。
ダイエットって凄い、と、感嘆頻りの私。
と、唐突にポジティブボディの女性の曰く。
「私さぁ、髪色ガチピンクにしたいんだけど、止めたのね。で、ゴールドも入れた訳」
そして連れの女性が訊いた。
「ふーん、何で?」
即応するポジティブボディの女性。
「笑わない?
絶対数笑わないなら言うけど、もし笑ったら
ディナー奢って貰うかんね、いい?」
肯く連れの女性。
「うん、いいよ」
マスク越しにもポジティブボディの女性の目許が、不敵に微笑んでいるのが見て取れる。
「だってもうちょっと痩せてからでないと、髪色ガチピンクだと私ん家の貯金箱みたくなっちゃうんだもん」
と、暫くは顔を強ばらせながら笑うのを堪えていた連れの女性だったが、遂に堪え切れなくなったのか、ぷっ、と、噴き出してしまった。
「ズリいよ~。
分かったよ、奢りゃいいんでしょ~」
直後ポジティブボディの女性は、「っしゃあーっ」、と、握り拳を造り、直ぐに頭に着けたリボンを外したのであった。
そしてその後に続けた連れの女性の一言が、それ迄何も分からずにいた私に、彼女同様笑う事を堪えさせたのである。
同時に何故ポジティブボディの女性が、わざわざ頭にリボンを着けたのかも分かった。
ところがその場で笑う訳にいかない私は、隣席の女性達に気付かれぬよう、自らの膝をつねりながらトイレに向かう他無かったのである。
そしてトイレの中で声を殺して笑った私。
それにしても何と言うポジティブボディの女性の、そのポジティブさであろう。
しかも周到にリボンの準備迄するとは。
何となればポジティブボディの女性の、「っしゃあーっ」、の後に続けた連れの女性の一言が、「ピンクのブタの貯金箱持ち出すのは反則だよ~」、であったからだ。
と、ここで一つ。
やはりポジティブボディの女性は何に付けてもポジティブであり、勝とうと思っても絶体に勝て無いのだ、と、恐惶謹言させて戴く。
かしこ。
たとえ数千円分でも、無料で買い物が出来ると言うのは有難い。
何時もの新宿の百貨店で、悠々と買い物を済ませ帰途に就いた私。
食糧も無料で確保出来た事だしコーヒーを飲むくらい良いか、と、新宿でチェーンのコーヒーショップにコーヒーを飲みに入った時の事。
私は注文したアイスコーヒーを受け取り、空いている席に座った。
するとその直後に淡いピンクゴールドの髪色で、ピンクのジャケットにショートパンツを履いたポジティブボディの女性が入店して来た。
年の頃なら20代前半か。
やがて彼女はドリンクを持って私の隣席へ。
と、奥のベンチシートに座ればいいのに、何故か手前の一人掛け背凭れ椅子に腰掛けた。
誰かと待ち合わせでもしているのだろう。
そして徐にハンドミラーを出して来たかと思うと、鏡越しに自身の顔を見詰めながら頭にクリップ式のリボンを着けたのだ。
左右に一つずつこれまた色はピンクである。
何故そんな事をするのか、その時点ではその意図が分からなかった私であったが、後にその意図を痛切に知る事になる。
少ししてポジティブボディの女性の連れの女性が遣って来て、私の直ぐ隣りの奥のベンチシートに腰掛けた。
ポジティブボディの女性と同世代の女性だ。
やがて2人してダイエットの話をし始めた。
後から入店して来た女性はポジティブボディとは程遠いスタイルの良い女性だったが、聴こえて来た話によると、どうやら連れの女性も元はポジティブボディだったらしく、2人は同じジムに通うダイエット仲間らしい。
それにポジティブボディの女性も現在ダイエット中で、既に15キロ程痩せたのだとか。
うーん。
ダイエットって凄い、と、感嘆頻りの私。
と、唐突にポジティブボディの女性の曰く。
「私さぁ、髪色ガチピンクにしたいんだけど、止めたのね。で、ゴールドも入れた訳」
そして連れの女性が訊いた。
「ふーん、何で?」
即応するポジティブボディの女性。
「笑わない?
絶対数笑わないなら言うけど、もし笑ったら
ディナー奢って貰うかんね、いい?」
肯く連れの女性。
「うん、いいよ」
マスク越しにもポジティブボディの女性の目許が、不敵に微笑んでいるのが見て取れる。
「だってもうちょっと痩せてからでないと、髪色ガチピンクだと私ん家の貯金箱みたくなっちゃうんだもん」
と、暫くは顔を強ばらせながら笑うのを堪えていた連れの女性だったが、遂に堪え切れなくなったのか、ぷっ、と、噴き出してしまった。
「ズリいよ~。
分かったよ、奢りゃいいんでしょ~」
直後ポジティブボディの女性は、「っしゃあーっ」、と、握り拳を造り、直ぐに頭に着けたリボンを外したのであった。
そしてその後に続けた連れの女性の一言が、それ迄何も分からずにいた私に、彼女同様笑う事を堪えさせたのである。
同時に何故ポジティブボディの女性が、わざわざ頭にリボンを着けたのかも分かった。
ところがその場で笑う訳にいかない私は、隣席の女性達に気付かれぬよう、自らの膝をつねりながらトイレに向かう他無かったのである。
そしてトイレの中で声を殺して笑った私。
それにしても何と言うポジティブボディの女性の、そのポジティブさであろう。
しかも周到にリボンの準備迄するとは。
何となればポジティブボディの女性の、「っしゃあーっ」、の後に続けた連れの女性の一言が、「ピンクのブタの貯金箱持ち出すのは反則だよ~」、であったからだ。
と、ここで一つ。
やはりポジティブボディの女性は何に付けてもポジティブであり、勝とうと思っても絶体に勝て無いのだ、と、恐惶謹言させて戴く。
かしこ。