第43話 鼻から抜けるような声の女店員さんこと、百貨店の女店員さん
文字数 1,445文字
先日と或る百貨店にて、食料品売場のタイムセールで買い物を済ませた私が帰路に就いた時の事、恐らく百貨店の女店員さんであろう女性が社員通用門から電話をしながら出て来た。
流石は百貨店勤務だけあって、身なりもきちんとしているし、マスク越しにも美形と思しき女性だった。
そこの百貨店は地上に在る社員通用門が地階のお客様用駐車場の出口の横に有るので、退社する従業員さんは車が出て行く時に鉢合わせした際、歩道に出ても通用門の反対側に行こうとすると、一旦立ち止まって車を遣り過ごさなければならないのだ。
なので調度閉店後間も無い時間には、お客さんの車や出入りの業者の車でごった返しており、歩道に出ても出て行く車が途切れないので中々反対側には行けない。
ご存知の通り百貨店の女店員さんと言えば、独特の発声で知られる。
例えば「いらっしゃいませー」ひとつにしても、鼻から抜けるような何とも耳障りの良い独特の発声をする。
但し地階の食料品売り場だけは全く別物だ。
タイムセールともなると、「お買い得ですよ〜」、と、品とか耳障りとかは度外視の声を張り上げる。
それ以外のインフォメーションを始め衣料品や貴金属、或いは化粧品に靴やバッグ等の女店員さんは一様に、耳障りの良い「いらっしゃいませー」なのである。
で、私の見掛けた女店員さんらしき人が電話をしていたのは、地上に在るその百貨店の社員通用門を出た処で私と同じく車列が途切れるのを待っている時で、辺りには私以外人も居なかったので話が良く聴こえたのである。
その女店員さんがスマホに吹き込んでいた内容は、全くのプライベートな会話だった。
「えっ、ウッソー、そうなんだ。
ん? 私? ムリムリ。絶対にムリだよ。
うん。えーっ、そんななってんの」、と。
内容は余り正確には記憶していないのだが、大したものではなかった。
しかしその普通な感じの口調から、これはきっと地下の食料品売場の女店員さんなのか?
と、思ったのだが、次の刹那確実に食料品売場ではない、インフォメーションか或いは通常の売場の女店員さんだと分かった。
その女店員さんがスマホに、「あ、ごめん。
キャッチ入った。ん、じゃまたね」、と、通常の会話を終えたその後に、「はい○○で、ございます。はい、はい。かしこまりました。明日○時でございますね。承りました。ありがとうございますー」、と。
そうなのである。
キャッチの入った後に、恐らくは会社からなのか仕事の電話なのだろう。
あの鼻から抜けるような百貨店の女店員さん特有の、何とも耳障りの良い独特の発声だったのだ。
うーん。
凄い切り替えだった。
切り替える前と後では、それはもう全くの別人なのである。
恐るべし百貨店の女店員さん。
私もその後部屋に戻り言ってみた。
「いらっしゃいませー」、と、「ありがとうございましたー」、を。
しかしそんなに上手くは言えない。
と、私の経験したこの件を、女芸人さんがデフォルメしてくれたら面白いのに。
誰か何とかしてくれないものか。
それにしても電話でのあの発声って、仕事だと無意識にあんな口調になるのだろうか。
そう考えると、恐るべし習慣と言うべきか。
否、職業病?
何れにしても私としては食品売場の濁声の男性の声の方が親しみがあるのは、気のせいではなかろう。
そう言えばここ一年余り、食料品売場以外百貨店の他の何処にも行っていない私だった。
それって、喜ぶべきか、悲しむべきか。
うーん。
悩ましい問題である。
流石は百貨店勤務だけあって、身なりもきちんとしているし、マスク越しにも美形と思しき女性だった。
そこの百貨店は地上に在る社員通用門が地階のお客様用駐車場の出口の横に有るので、退社する従業員さんは車が出て行く時に鉢合わせした際、歩道に出ても通用門の反対側に行こうとすると、一旦立ち止まって車を遣り過ごさなければならないのだ。
なので調度閉店後間も無い時間には、お客さんの車や出入りの業者の車でごった返しており、歩道に出ても出て行く車が途切れないので中々反対側には行けない。
ご存知の通り百貨店の女店員さんと言えば、独特の発声で知られる。
例えば「いらっしゃいませー」ひとつにしても、鼻から抜けるような何とも耳障りの良い独特の発声をする。
但し地階の食料品売り場だけは全く別物だ。
タイムセールともなると、「お買い得ですよ〜」、と、品とか耳障りとかは度外視の声を張り上げる。
それ以外のインフォメーションを始め衣料品や貴金属、或いは化粧品に靴やバッグ等の女店員さんは一様に、耳障りの良い「いらっしゃいませー」なのである。
で、私の見掛けた女店員さんらしき人が電話をしていたのは、地上に在るその百貨店の社員通用門を出た処で私と同じく車列が途切れるのを待っている時で、辺りには私以外人も居なかったので話が良く聴こえたのである。
その女店員さんがスマホに吹き込んでいた内容は、全くのプライベートな会話だった。
「えっ、ウッソー、そうなんだ。
ん? 私? ムリムリ。絶対にムリだよ。
うん。えーっ、そんななってんの」、と。
内容は余り正確には記憶していないのだが、大したものではなかった。
しかしその普通な感じの口調から、これはきっと地下の食料品売場の女店員さんなのか?
と、思ったのだが、次の刹那確実に食料品売場ではない、インフォメーションか或いは通常の売場の女店員さんだと分かった。
その女店員さんがスマホに、「あ、ごめん。
キャッチ入った。ん、じゃまたね」、と、通常の会話を終えたその後に、「はい○○で、ございます。はい、はい。かしこまりました。明日○時でございますね。承りました。ありがとうございますー」、と。
そうなのである。
キャッチの入った後に、恐らくは会社からなのか仕事の電話なのだろう。
あの鼻から抜けるような百貨店の女店員さん特有の、何とも耳障りの良い独特の発声だったのだ。
うーん。
凄い切り替えだった。
切り替える前と後では、それはもう全くの別人なのである。
恐るべし百貨店の女店員さん。
私もその後部屋に戻り言ってみた。
「いらっしゃいませー」、と、「ありがとうございましたー」、を。
しかしそんなに上手くは言えない。
と、私の経験したこの件を、女芸人さんがデフォルメしてくれたら面白いのに。
誰か何とかしてくれないものか。
それにしても電話でのあの発声って、仕事だと無意識にあんな口調になるのだろうか。
そう考えると、恐るべし習慣と言うべきか。
否、職業病?
何れにしても私としては食品売場の濁声の男性の声の方が親しみがあるのは、気のせいではなかろう。
そう言えばここ一年余り、食料品売場以外百貨店の他の何処にも行っていない私だった。
それって、喜ぶべきか、悲しむべきか。
うーん。
悩ましい問題である。