第89話 「○○○ランド」前で怒り心頭の彼女こと、勘違いと知り駆け出す彼女
文字数 1,965文字
新宿歌舞伎町に、「大人のテーマパーク」、と、銘打たれた「○○○ランド」なる店舗をご存知の男性は少なくないと思う。
某大手AVメーカーに拠るコロナ対策適応型アミューズメント施設である。
AVメーカーと言っても歌舞伎町に在る以上は、(audio visual)の真面目な方ではなく、(adult video)のHな方のAVだ。
このコロナ禍である。
顧客が減少し閉店や店舗縮小に喘ぐ風俗業界に有って、職場を失った風俗嬢も少なくない。
たとえ職を失っても彼女達には、「雇用調整助成金」に拠る「休業支援金」も、勤務先からの「休業手当」も出ない。
そんな風俗嬢の新たな働き口として今最も脚光を浴びる存在であり、また性犯罪の増加を防ぐ為にも有効なアミューズメント施設。
何より濃厚接触を避ける事が出来る。
そんな次世代アミューズメント施設こそが、「大人のテーマパーク・○○○ランド」だ。
と、「○○○ランド」のプレゼンを、ドキュメンタリー番組風にやってみたが、早い話が歌舞伎町の新型風俗店である。
が、幾ら大手AVメーカーの手に拠る店舗と言えど、女性受けは100%しない。
否、大手AVメーカーが手掛ける店だからこそなのかも知れない。
何となれば表にはシンボルマークと思しき、某有名セクシー女優を写した等身大幟が掲げられているからだ。
私は未だ前を通るだけで中に入った事は無いのだが、その前を通り掛かった通行人女性のリアクションは以下の如くである。
(女性1人で通り掛かった場合)
1・その店舗がまるで無いかの如く無視
して通り過ぎる。
2・店舗を見るや汚物を避けるかの如く、
その店舗から離れ道の反対側を歩く。
3・物凄い怖い目で一瞥して通り過ぎる。
マスク越しでもほぼ怒りの目許。
(女性だけの2人以上のグループで通り掛かった場合)
4・一瞥し皆で笑いながら通り過ぎる。
5・一人が一瞥するも他の人は無視する。
(カップルで通り掛かった場合の女子の反応)
6・彼の腕を引っ張って顎で店舗を指しなが
ら、彼と笑い合う。
7・彼の腕を引っ張って顎で店舗を指しなが
ら、彼に怒った顔をする。
8・彼の顔の横に手を翳し店舗を見せないよ
うにして、その後笑い合う。
等々、他にも色々とあるが、何はともあれ良い意味でも悪い意味でも目立っているのだ。
そんな中で今日見掛けた女性は私の直ぐ前を歩いていて、「○○○ランド」を通り掛かった際の彼女のリアクションは、3の「物凄い怖い目で一瞥して通り過ぎる」のパターンだった。
と、スマホを片手に話し出した。
聴き耳を立てずとも、自然と彼女の声が聴こえる距離に居た私である。
以下に通話での彼女の声だけを記してみた。
それだけで大体だが通話の内容は知れる。
「何処なの?
今凄い変な店の前通ったんだけどぉ。
一人で遊んでるんじゃないでしょうね!」
と、凄いトーンで怒りを露わにする彼女。
「うん、うん。
えっ、こっちじゃないの。
ゴジラんとこ」
と、直後声のトーンがやや穏やかになる。
「えっ、ピカデリーってこっちじゃないんだ。
そっかぁ、三丁目かぁ。
こっちって、あっ、東宝シネマズだっけ。
えっ、列に並んでアイス買ってくれてるの。
ごめん、ごめんねぇ」
と、髪の毛を掻き上げながら声が申し訳なさそうなトーンへ、と、完全に変わる。
「えっ、何で謝るのって?
いいの、こっちの話だから。
うん、直ぐ行くね。
待ってて、直ぐだから」
と、立ち止まる彼女。
直後彼女を追い越す間際に一瞥すると、彼女はマスクの上の目許を緩ませていた。
電話を切った後スマホをバッグに入れるや走り出した彼女。
以上の状況を解説させて貰うと、恐らく彼と映画を観る約束をしていた彼女は、東宝シネマズと新宿ピカデリーの場所を勘違いしていたと思われる。
そうして彼に会えずに歌舞伎町を彷徨い歩く内に、もしや彼が「○○○ランド」等に行っているのではないか、と、疑念に駆られ、やがて怒り心頭に達した彼女は彼に電話を掛けた。
ところが電話で彼と話す内に彼女自身が場所を勘違いしていた事に気付き、しかも自分の為に並んでアイスを買ってくれている彼に申し訳無く、且つ彼を愛おしく思い駆け出した。
と、言った処か。
つまりは今の彼女に取って、彼以外の男共が如何ほど列を為して行く「○○○ランド」であっても、自身の彼だけは絶対に行かない場所だと思っているのだろう。
ここで一つ。
新宿ピカデリーの場所を勘違いした彼女のように、私の彼や旦那は「○○○ランド」になんか絶対に行かない、と、確信している世の女性達に、それは錯覚であると釘を刺しておく。
斯く言う私も、何れ「○○○ランド」に行くつもりなのだから、と、恐惶謹言させて戴く。
かしこ。
某大手AVメーカーに拠るコロナ対策適応型アミューズメント施設である。
AVメーカーと言っても歌舞伎町に在る以上は、(audio visual)の真面目な方ではなく、(adult video)のHな方のAVだ。
このコロナ禍である。
顧客が減少し閉店や店舗縮小に喘ぐ風俗業界に有って、職場を失った風俗嬢も少なくない。
たとえ職を失っても彼女達には、「雇用調整助成金」に拠る「休業支援金」も、勤務先からの「休業手当」も出ない。
そんな風俗嬢の新たな働き口として今最も脚光を浴びる存在であり、また性犯罪の増加を防ぐ為にも有効なアミューズメント施設。
何より濃厚接触を避ける事が出来る。
そんな次世代アミューズメント施設こそが、「大人のテーマパーク・○○○ランド」だ。
と、「○○○ランド」のプレゼンを、ドキュメンタリー番組風にやってみたが、早い話が歌舞伎町の新型風俗店である。
が、幾ら大手AVメーカーの手に拠る店舗と言えど、女性受けは100%しない。
否、大手AVメーカーが手掛ける店だからこそなのかも知れない。
何となれば表にはシンボルマークと思しき、某有名セクシー女優を写した等身大幟が掲げられているからだ。
私は未だ前を通るだけで中に入った事は無いのだが、その前を通り掛かった通行人女性のリアクションは以下の如くである。
(女性1人で通り掛かった場合)
1・その店舗がまるで無いかの如く無視
して通り過ぎる。
2・店舗を見るや汚物を避けるかの如く、
その店舗から離れ道の反対側を歩く。
3・物凄い怖い目で一瞥して通り過ぎる。
マスク越しでもほぼ怒りの目許。
(女性だけの2人以上のグループで通り掛かった場合)
4・一瞥し皆で笑いながら通り過ぎる。
5・一人が一瞥するも他の人は無視する。
(カップルで通り掛かった場合の女子の反応)
6・彼の腕を引っ張って顎で店舗を指しなが
ら、彼と笑い合う。
7・彼の腕を引っ張って顎で店舗を指しなが
ら、彼に怒った顔をする。
8・彼の顔の横に手を翳し店舗を見せないよ
うにして、その後笑い合う。
等々、他にも色々とあるが、何はともあれ良い意味でも悪い意味でも目立っているのだ。
そんな中で今日見掛けた女性は私の直ぐ前を歩いていて、「○○○ランド」を通り掛かった際の彼女のリアクションは、3の「物凄い怖い目で一瞥して通り過ぎる」のパターンだった。
と、スマホを片手に話し出した。
聴き耳を立てずとも、自然と彼女の声が聴こえる距離に居た私である。
以下に通話での彼女の声だけを記してみた。
それだけで大体だが通話の内容は知れる。
「何処なの?
今凄い変な店の前通ったんだけどぉ。
一人で遊んでるんじゃないでしょうね!」
と、凄いトーンで怒りを露わにする彼女。
「うん、うん。
えっ、こっちじゃないの。
ゴジラんとこ」
と、直後声のトーンがやや穏やかになる。
「えっ、ピカデリーってこっちじゃないんだ。
そっかぁ、三丁目かぁ。
こっちって、あっ、東宝シネマズだっけ。
えっ、列に並んでアイス買ってくれてるの。
ごめん、ごめんねぇ」
と、髪の毛を掻き上げながら声が申し訳なさそうなトーンへ、と、完全に変わる。
「えっ、何で謝るのって?
いいの、こっちの話だから。
うん、直ぐ行くね。
待ってて、直ぐだから」
と、立ち止まる彼女。
直後彼女を追い越す間際に一瞥すると、彼女はマスクの上の目許を緩ませていた。
電話を切った後スマホをバッグに入れるや走り出した彼女。
以上の状況を解説させて貰うと、恐らく彼と映画を観る約束をしていた彼女は、東宝シネマズと新宿ピカデリーの場所を勘違いしていたと思われる。
そうして彼に会えずに歌舞伎町を彷徨い歩く内に、もしや彼が「○○○ランド」等に行っているのではないか、と、疑念に駆られ、やがて怒り心頭に達した彼女は彼に電話を掛けた。
ところが電話で彼と話す内に彼女自身が場所を勘違いしていた事に気付き、しかも自分の為に並んでアイスを買ってくれている彼に申し訳無く、且つ彼を愛おしく思い駆け出した。
と、言った処か。
つまりは今の彼女に取って、彼以外の男共が如何ほど列を為して行く「○○○ランド」であっても、自身の彼だけは絶対に行かない場所だと思っているのだろう。
ここで一つ。
新宿ピカデリーの場所を勘違いした彼女のように、私の彼や旦那は「○○○ランド」になんか絶対に行かない、と、確信している世の女性達に、それは錯覚であると釘を刺しておく。
斯く言う私も、何れ「○○○ランド」に行くつもりなのだから、と、恐惶謹言させて戴く。
かしこ。