第69話 地方の人に説明し難い区こと、新宿区

文字数 1,793文字

 今日は土曜日である。
 新宿副都心は人も車も凄く少ない。
 何より街並みが美しい。
 街路樹にしてもその風景の何もかもが。
 正に都会のオアシスだ。
 街を往く女性はスプリングコートを羽織り土曜出勤なのかヒール姿で、皆が黒髪で髪の毛が乱れないようにきちっとセットしている。
 また全員純白の清潔感溢れるマスクを着用。
 見ているだけで清々しい。
 そんな新宿副都心のレストランでブランチを戴き、散策を終えた私はリフレッシュも完璧。
 と、今日中に新大久保の熱帯魚屋さんに行かなければならない事を思い出した。
 場所が場所なので今日は止めとくかとも思ったのだが、今日行かねばならないのだ。
 同じ新宿区とは言え新宿副都心から新大久保へと向かう事になる。

 今日のような時に私はつい考えてしまう。
 東京23区でこれ程違う地域を同じ区で抱えているのは、恐らく新宿だけではないか、と。
 しかし距離的にはそんなに離れている訳ではないので、新大久保へはメトロやJRを使うよりも歩いた方が早い。
 畢竟新宿副都心から歌舞伎町を抜けて新大久保に向かう事になる。
 このコロナ禍にも拘わらず、ホスト君や風俗のキャッチ、或いは風俗嬢やキャバ嬢で埋め尽くされている歌舞伎町。
 今日の私は新宿副都心からその歌舞伎町を抜けて、新大久保へと歩いて向かったのである。

 そしてその新大久保周辺はと言うと、ほぼ10代〜20代の女性で埋め尽くされていた。
 しかも2人〜4人位の女性だけのグループが殆どなのだ。
 うーん。
 新宿副都心とは街往く女性がかなり違う。
 そこで新大久保の街往く女性達の特徴を下記に列記してみた。
 
 歩きスマホをしている女性は当たり前。
 或いはコンビニの壁に凭れ掛かり、へたり込んでスマホを弄るのも当たり前。
 ホットクも歩き食べは当たり前である。
 圧巻だったのはギプスをして手を吊るしている女性が、もう片方の大丈夫な方の手にホットクを持って歩き食べていた事。
 それから怖くないのかと思ったのが、ヒップポケットにスマホを入れている女性。
 しかも浅いポケットなのだ。
 フロントポケットならまだしも、振り向かないと見えない場所にスマホを入れてひったくられる心配はしないのか、と、赤の他人の私が心配をした。
 またショートパンツからストッキングのマチを喰み出させている女性がやたらと多い。
 私は下着を見せられているような気がするのだが、新大久保を往く女性達は全く気にしていないようだ。
 と、言うか、さっき迄居た新宿副都心には、そもそもショートパンツを履いた女性自体が居なかった。
 それに対し新大久保を往く女性達のショートパンツ姿の多い事。
 またライトグリーン、赤、オレンジ、ゴールド、シルバー、と、これ等は新大久保を往く車の色では無く、新大久保を往く若年女性達の髪色である。 

 と、他にも色々有るが、この程度でご理解戴けたであろう。
 とは言え私は何も新大久保を往く女性達を、批難している訳ではないのである。
 何故神楽坂や新宿副都心或いは西新宿と、歌舞伎町や新大久保が同じ新宿区なのか。
 と、その事を言いたいのだ。
 都内に住んでいる人ならまだしも、地方から出て来た人に何と言って説明すれば良いのか。
 新宿区ってどんな街。
 とか、訊かれたら何と答える?
 してみると地方の人に新宿区を説明する場合、結局このままでは、「カオスです」、と、しか言い様がないではないか。

 そこで私は画期的な解決策を考えた。
 西新宿区と東新宿区の2つの区に新宿区を割るのだ。  
 神楽坂や新宿副都心或いは西新宿を西新宿区とし、歌舞伎町や新大久保を東新宿区とする。

 これで問題は解決!

 と、自画自賛していたら、大変重要な地域を西と東に分けるのを忘れていた。
 三越伊勢丹の有るショッピングタウン新宿三丁目と、マツコデラックスを排出したゲイタウン新宿二丁目を組み込むのを。
 そこでその2地域をどう分類するかである。
 仮に三丁目を西新宿区に組み込むと、場所的には二丁目も西新宿区に組み込まなければならなくなる。
 逆に二丁目を分類上適当な東新宿区に組み込むと、場所的には三丁目迄東新宿区に巻き込んでしまう事になるではないか、
 うーん。
 と、なると、東西に分けるのは無理か。

 やはり新宿区はカオスだ。

 と、しか言い様がない、と、恐惶謹言させて戴いて今日の結びとする。
 かしこ。

 
 
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