第76話 真っ赤なジャージ女子となんちゃってJKこと、副都心には用の無い女子達
文字数 1,982文字
昨日の事熱帯魚屋さんへと出向いた後、新宿都庁周辺のレストランで夕食を摂ろうと先ずは新宿西口へと向かった。
歌舞伎町を通過し新宿区役所から地下へ。
次いで地下から新宿東口周辺を通過し新宿西口へと到着。
愈々副都心に向かおうとしたその時。
地上には副都心への玄関口とも言うべきオフィスビル群が林立すると言うのに、その地下街で上下お揃いの真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女子が居たのである。
しかも髪色も赤に染めていて、セミロングの髪を無雑作にゴムで括っていた。
年の頃なら10代後半〜20第前半と言った処であろうか。
目立つ事甚だしいのである。
何となれば男女共周辺に居る人は、殆どの人がスーツを着ているからだ。
仕事絡みか或いは仮にそうでなかったにしても、これからの時間を副都心で過ごす人達なのである。
そうした状況は必然とも言えよう。
そんな中それでなくても目立つ真っ赤なフルーツ柄のスウェット女子が、壁に描かれたインフォメーションマップをずっと見ているのだ。
私は一目見て悟った。
きっと出口を間違えたのだ、と。
歌舞伎町か新大久保或いは二丁目か、何れにせよ彼女の目的地が副都心で無い事は明らか。
幾ら穴が開く程インフォメーションマップを見た処で、彼女の向かうべき場所が見付かるものではない。
東口の改札を出れば良かったものを。
と、思いながらも、私は急ぎ口座を持つ銀行のATMコーナーに入って行った。
食事代を引き出し地下街にもう一度足を踏み出した私。
すると真っ赤なフルーツ柄のスウェットの彼女は、先程のインフォメーションマップの前には既に居らず、別の場所のインフォメーションマップの前に居たのである。
可哀想に西側のインフォメーションマップには、幾ら探しても目的地は無いと言うのに。
と、そこへ電話が入り目的地への道順を説明して貰ったのか、漸く彼女は東口に向かって歩き始めた。
普段から来ない人に取って、本当に解りにくい街なのである。
新宿と言う街は。
それに彼女も何度か視線を落としてスマホを見ていたのだが、恐らくナビも新宿のような広い駅の構内に在っては役に立たないのだ。
しでみるとAIはこう言う場合にこそ活躍すべきなのではないか。
例えば改札を通る時に、「東口は反対側ですよ」、とか改札通過時にAIに言わす事が出来るように思うのだが。
ビッグデータを使えば先程の真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女性が、東口の改札を出るべきだとAIなら簡単に分かる筈だ。
否、ビッグデータを使わずとも分かる。
普通に考えて真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女性が、副都心へ行くとは思えない。
彼女の行先が歌舞伎町か或いは新大久保か二丁目か、その何れかだろう事は言う迄も無い。
否、待てよ。
そうした判断を下すのは、それは差別になるのではないか。
否々、待てよ。
そうではなくそうした判断は副都心の方が新宿駅の東側地域より優れている、との判断に繋がるのでは。
それこそ差別だ。
ではどうすれば良いのか。
と、そこで私は、非常に画期的な解決策を思い付いたのである。
西口のインフォメーションマップの欄外に大きく、「歌舞伎町・新大久保・二丁目方面はこちらではありません」、と、記してはどうか。
また東口のインフォメーションマップの欄外には大きく、「新宿副都心方面はこちらではありません」、と記すのだ。
これで問題解決である。
と、新宿副都心のレストランで夕食を摂りながら良い答えを見付けたので、関係当局に提案しようかと思っていた矢先の事である。
夕食を済ませて再び新宿西口の地下街に降り立った私は、「なんちゃってJK女子二人組」がインフォメーションの前に立ち止まり、行く先を吟味しているのを見掛けた。
マスク越しにも20歳を越えている事は明らかである。
最近歌舞伎町や新大久保では、ファッションでJKの制服を着る20代女性が少なくない。
私は彼女達に近寄り思い切って言ってみた。
「歌舞伎町とか新大久保なら、東口だから逆側ですよ」、と。
彼女達が声を揃えて曰く
「あぁ、そうなんですか」、と。
二人共その言葉の後に、「どうして行先が分ったの?」、と、でも言いたげであったが、「なんちゃってJKが副都心に行く訳ねえだろうが」、とも言えない。
私は何喰わぬ顔で歌舞伎町への行き方を教えてその場を去ったのだが、帰路へと就いた道々で考えたのである。
関係当局に提案するのは止めにしよう、と。
何故なら口で言った方が早いからだ。
ここで一つ。
もし新宿副都心側で真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女性や、或いは「なんちゃってJK」を見かけた際皆様方には、「歌舞伎町とか新大久保なら、東口だから逆側ですよ」、と、言って戴くよう恐惶謹言させて戴く。
かしこ。
歌舞伎町を通過し新宿区役所から地下へ。
次いで地下から新宿東口周辺を通過し新宿西口へと到着。
愈々副都心に向かおうとしたその時。
地上には副都心への玄関口とも言うべきオフィスビル群が林立すると言うのに、その地下街で上下お揃いの真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女子が居たのである。
しかも髪色も赤に染めていて、セミロングの髪を無雑作にゴムで括っていた。
年の頃なら10代後半〜20第前半と言った処であろうか。
目立つ事甚だしいのである。
何となれば男女共周辺に居る人は、殆どの人がスーツを着ているからだ。
仕事絡みか或いは仮にそうでなかったにしても、これからの時間を副都心で過ごす人達なのである。
そうした状況は必然とも言えよう。
そんな中それでなくても目立つ真っ赤なフルーツ柄のスウェット女子が、壁に描かれたインフォメーションマップをずっと見ているのだ。
私は一目見て悟った。
きっと出口を間違えたのだ、と。
歌舞伎町か新大久保或いは二丁目か、何れにせよ彼女の目的地が副都心で無い事は明らか。
幾ら穴が開く程インフォメーションマップを見た処で、彼女の向かうべき場所が見付かるものではない。
東口の改札を出れば良かったものを。
と、思いながらも、私は急ぎ口座を持つ銀行のATMコーナーに入って行った。
食事代を引き出し地下街にもう一度足を踏み出した私。
すると真っ赤なフルーツ柄のスウェットの彼女は、先程のインフォメーションマップの前には既に居らず、別の場所のインフォメーションマップの前に居たのである。
可哀想に西側のインフォメーションマップには、幾ら探しても目的地は無いと言うのに。
と、そこへ電話が入り目的地への道順を説明して貰ったのか、漸く彼女は東口に向かって歩き始めた。
普段から来ない人に取って、本当に解りにくい街なのである。
新宿と言う街は。
それに彼女も何度か視線を落としてスマホを見ていたのだが、恐らくナビも新宿のような広い駅の構内に在っては役に立たないのだ。
しでみるとAIはこう言う場合にこそ活躍すべきなのではないか。
例えば改札を通る時に、「東口は反対側ですよ」、とか改札通過時にAIに言わす事が出来るように思うのだが。
ビッグデータを使えば先程の真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女性が、東口の改札を出るべきだとAIなら簡単に分かる筈だ。
否、ビッグデータを使わずとも分かる。
普通に考えて真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女性が、副都心へ行くとは思えない。
彼女の行先が歌舞伎町か或いは新大久保か二丁目か、その何れかだろう事は言う迄も無い。
否、待てよ。
そうした判断を下すのは、それは差別になるのではないか。
否々、待てよ。
そうではなくそうした判断は副都心の方が新宿駅の東側地域より優れている、との判断に繋がるのでは。
それこそ差別だ。
ではどうすれば良いのか。
と、そこで私は、非常に画期的な解決策を思い付いたのである。
西口のインフォメーションマップの欄外に大きく、「歌舞伎町・新大久保・二丁目方面はこちらではありません」、と、記してはどうか。
また東口のインフォメーションマップの欄外には大きく、「新宿副都心方面はこちらではありません」、と記すのだ。
これで問題解決である。
と、新宿副都心のレストランで夕食を摂りながら良い答えを見付けたので、関係当局に提案しようかと思っていた矢先の事である。
夕食を済ませて再び新宿西口の地下街に降り立った私は、「なんちゃってJK女子二人組」がインフォメーションの前に立ち止まり、行く先を吟味しているのを見掛けた。
マスク越しにも20歳を越えている事は明らかである。
最近歌舞伎町や新大久保では、ファッションでJKの制服を着る20代女性が少なくない。
私は彼女達に近寄り思い切って言ってみた。
「歌舞伎町とか新大久保なら、東口だから逆側ですよ」、と。
彼女達が声を揃えて曰く
「あぁ、そうなんですか」、と。
二人共その言葉の後に、「どうして行先が分ったの?」、と、でも言いたげであったが、「なんちゃってJKが副都心に行く訳ねえだろうが」、とも言えない。
私は何喰わぬ顔で歌舞伎町への行き方を教えてその場を去ったのだが、帰路へと就いた道々で考えたのである。
関係当局に提案するのは止めにしよう、と。
何故なら口で言った方が早いからだ。
ここで一つ。
もし新宿副都心側で真っ赤なフルーツ柄のスウェットを着た女性や、或いは「なんちゃってJK」を見かけた際皆様方には、「歌舞伎町とか新大久保なら、東口だから逆側ですよ」、と、言って戴くよう恐惶謹言させて戴く。
かしこ。