第130話 制服男子と星野源と朝乃山の3人こと、誰が一番幸せなのか分からない3人

文字数 1,595文字

 昨日の朝の事である。
 午前9時半頃だったと思う。
 ちっちゃ可愛い制服JKとちっちゃ可愛い制服男子との2人が、仲良く新宿の街をカップルで歩いていた。
 何と言っても2人共ちっちゃくて、お揃いのお洒落マスクをしていたのが印象的だった。

 しかし新宿の街と言っても、彼等が歩いていた場所はどちらかというと住居エリアで、新宿西口駅から少し歩いた百人町周辺なのである。
 畢竟2人のデート先として、これ、と、言う場所が思い付かない。
 まぁ、午前中だから緊急事態宣言下の今でも営業しているだろうが、彼等の歩いて向かう先にはカラオケボックスもファミレスも無い。
 在ってもスーパーくらいのものなのだが、高校生の2人にはスーパーで食糧を買って、公園か何処かで食べるだけで幸せなのだろう。

 何とも微笑ましい風景である。

 並んで歩くJKは横を歩く男子をじっと見詰め、マスク越しにも凄く幸せそうな様子。
 男子の方もマスク越しに眼で微笑み返す。
 JKはグミの袋を手にしており、自身の口と男子の口に交互に運んでいた。
 その度にJKは制服男子のマスクを、着けたり外したりしてあげているのである。
 擦れ違っただけだが、男子の方は今にも天に舞い上がりそうな様子が見て取れた。
 正に男子はちっちゃ可愛いJKに「骨抜き」にされているなぁ、と、「骨抜き」、と、言う言葉が脳裏を過った刹那、私は或る事に気付きその場に立ち尽くした。
 理由は以下の通り。

 平日の午前9時半頃なのである。
 その時間て授業だろう?
 試験の時期でも無い。  
 休みの時期でもない。
 じゃ、どうして今2人で此処に居る?

 以下に私の推理を展開する。

 このコロナ禍の時期、リモートの授業を取り入れている学校は多数在る筈。
 しかし毎日がリモートの授業、と、言う訳でもあるまい。
 登校者数を何人か間引いて、学校で対面の授業をする日もあるだろう。
 ところがその登校日が2人中々合わない。
 この時期高校生の2人がデートをしようと思っても、思うようには行くまい。
 そこで一計を案じる。

 どちらか一方が一人っ子で、両親が共働きだったとする。
 そしてその子がリモートの日なのに学校で授業が有る、と、親には言っておいて、制服で家を出るのである。
 そうしておいて何処かで待ち合わせて2人でその子の家に戻れば、別の処に居る体でリモートの授業をこなせる。
 パソコンが2台有れば足りる話だ。
 例えばその子の家が百人町の住宅エリアに建つマンションか何かだったとしたら、今2人が此処を歩いている説明が付く。
 畢竟親が帰って来る迄は、あんなことや、こんなこと迄出来る、と、言った具合である。

 そしてそんな悪知恵を働かせた小悪魔は、JKの方なのか制服男子の方なのか、果たして男か女かどっちなのか?
 その答えは明白である。
 
 とは言え制服男子の方は、「僕とデートする為にそんな事迄考えてくれて可愛い子だな」、とか思っていて、彼女の事を、「そんな事考え付くなんて、女って怖っ」、とは思わない筈。
 若さ故制服男子に於いては然もありなん。

 そんな事を考えながら帰宅すると、新垣結衣と星野源の結婚報道をしていたのと同じニュース番組で、朝乃山がキャバクラ通いで休場すると言うニュースが報道されていた。
 思うに今の星野源と制服男子の2人は幸せ一杯だろうし、2人にしてみたら朝乃山の事を可哀想な男だなぁ、と、思うだろう。

 しかし果たして本当にそうだろうか?

 少なくとも朝乃山は女の怖さを知り反省しているだろうが、星野源は今のところ女としての新垣結衣を知っていても妻としての彼女を知らないし、制服男子たるやそれ以前の話である。
 
 と、ここで1つ。
 3人の内誰が一番幸せなのか等、数年経ってからでないと分かるものか、と、恐惶謹言させて戴く。
 それから念の為に断っておくが、私は決して僻んで言っている訳ではない。
 かしこ。

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