第126話 英才教育教室のチビッ子達こと、過去を思い出させてくれたチビッ子達

文字数 677文字

 昨日の早朝の事である。
 久し振りに朝一番で宝くじを買おうと新宿へ繰り出したのだが、兎に角朝一番に並びたくて裏道を急いだ。
 すると多数のチビッ子達がお父さんやお母さんに手を引かれ、大通りを一本裏に入った場所に在る英才教育教室の前に集まっていた。
 さすがにチビッ子の英才教育はリモートで、と、言う訳にはいかないのだろう。
 彼等は入学手続きの為に集まっていた様子。

 やはり、と、言うか、当然、と、言うか、其処に集まっていたチビッ子達は、皆が皆賢そうな顔をしていた。
 ご両親もさぞかし楽しみな事だろう。

 と、そのチビッ子達を見ていた時、大昔の事だが父母にお金を掛けて貰い、色んな習い事をしていた自身の過去をふと思い出した。
 その上読みたい本は望めば買って貰えたし、イソップやアンデルセンの全集に果ては世界の偉人伝迄、子供の読める有りとあらゆる本を読ませて貰ったのだが、何故か貧乏な今の私。
 英才教育を受けた筈なのだが・・・・・。
 してみると才能も無いのに小説家を目指した事が、災いの元なのではないか。

 私事ではあるが英才教育教室のチビッ子生徒諸君に伝えたい。
 才能も無いのに小説家なんか目指すな!
 こんな貧乏な私のような大人になるぞ、と。
 朝一から当たりもしない宝くじを買いに行くような、阿保な大人にはなるな、と。
 否、が、しかし、思い直した。

 と、ここで一つ。
 才能も無いのに小説家を目指すと貧乏になるが、しかし貧乏を生きる事もまた人生なのだ、と、チビッ子達に教える事こそ、英才教育なのではないか、と、恐惶謹言させて戴く。
 ちょっと都合良過ぎるか?
 かしこ。


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