第34話 お姉ユーチューバーこと、ポッチャリナースのお姉

文字数 962文字

 何処なのか敢えて場所は言うまい。
 今日都内某所で看護師のコスプレをして鼻の穴の周りを黒く塗った「ポッチャリお姉」が、自撮り棒を片手に歩いていたのである。
 このコロナ禍に拘らずマスクも着けずにだ。
 脚元は動画に映さないのか、黒いタイツに黒いクロックス、と、言う出で立ち。
 そんなナンチャッテ看護師の「ポッチャリお姉」に遭遇した処を考えてみて戴きたい。
 怖い、と、言うべきなのか、否、痛い、と、言うべきなのか。
 私は別にLGBTの人を差別している訳でもないし、「お姉」が嫌いだから言っている訳でもない。
 そう言う問題ではないのである。
 兎にも角にも有り得ないのだ。
 この緊急事態宣言下である。
 それこそ完全な不要不急の外出ではないか。
 彼女、否、彼、否、あの「ポッチャリお姉」の目的は一体何なのか。
 或るいはあの「ポッチャリお姉」のナース姿を見たいと言うフォロワーは、一体どんな理由でそんな動画を見たいと思うのか。

 周辺を歩いていた人も通りすがりにチラと見たりする程度か、或るいは立ち止まって様子を窺う人が居ても、それはかなり離れた距離からだった。
 私もそれに倣って、かなり離れた距離から様子を窺った。
 と、「ポッチャリお姉」の数メートル先から、警官が歩いて来るではないか。
 私が胸を撫で下ろした事は言う迄も無い。
 職務質問されて捕縛、もしくは連行だ。
 と、そう思っていたのだが次の刹那、「ゲッ、マジで」、と、瞠目を禁じ得なかった。

 何と警官はスルーしたのである!

 全然怪しく無い普通の人には職務質問しまくる癖に、ナース姿で鼻の穴の周りを黒く塗った「ポッチャリお姉」をスルー?
 有り得ない。
 小池都知事に陳情してやる!
 と、思ったが、やはり止めた。
 何故ならその「ポッチャリお姉」の周りには、恐怖の余り人が1人も寄り付いていなかったからである。

 それ程のソーシャルディスタンスはない。
  
 恐るべし「ポッチャリお姉」。
 鼻の周りを黒く塗ったのも、そんな風にソーシャルディスタンスが出来る事を計算したものなのだろうか?
 な、訳無いか。
 まぁ、何れにせよ怖くて、痛い、そんな「ポッチャリお姉」だった。
 と、同時に、マジで有り得なかった。
 皆様もくれぐれも不要不急の外出はお控え下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。
 かしこ。
 
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