第136話 その事に気付いていない筈の紳士こと、実は予約の為だった紳士

文字数 1,197文字

 今日何時もの百貨店にタイムセールの弁当を買う為夕方に自宅を出たのだが、もう5月も末に差し掛かったからだろうか、真っ昼間のように日が高かった。
 暑さからか街往く人は、殆んどが半袖やノースリーブと言った軽装である。
 ジャケットを着てネクタイを締めているのは、最早日本中で自分だけではないか、と、思う程新宿の街はほぼ真夏の様相を呈していた。
 
 すると先ずは20代女性の後ろ姿に瞠目。
 何とシルク調のキャミソールの背中に開いたVゾーンから、ブルーのブラのバックホックの部分が完全に見えているのである。
 垣間見えると言うよりは、「見えている」、或いは「見せている」、と、言う方が正しい。
 しかし昨今「見せブラ」なるモノも世には出回っており、念の為その場でググってみた私。
 するとやはり前を往く女性の「ブラ」は純然たる下着の「ブラジャー」であり、「見せブラ」ではない事が判明。
 うーん。
 してみると彼女は、ブルーのブラが見えている事に気付いていないのか?
 或いは見せているのか?
 その辺りは謎だ。
 ま、一先ず眼の保養、と、言う事でいいか。

 と、ブルーのブラの彼女が居なくなって暫くすると、またまた20代女性の後ろ姿に瞠目。
 今度は身体にフィットするタイプの白いニットワンピを来た女性が、これまたはっきりとピンクのショーツがワンピ越しに透けて見えているのである。
 ショーツの型だけならまだしも、色迄透けて見えているのは如何なものか。
 してみると彼女は、ブルーのブラの彼女と同様に、ピンクのショーツが透けて見えている事に気付いていないのか?
 しかし普通は白のワンピなら、白のショーツにするだろう。
 やはり見せているのだろうか?
 その辺りは謎だ。
 ま、これも眼の保養、と、言う事でいいか

 そうして何時もの百貨店へ。
 次いで私がタイムセールの弁当を買い終えて階上に上がった時の事、何と70代と思しきステッキを突いた紳士の「社会の窓」が、パックリと開いているではないか。

 このケースは先程の女性達のように、紳士がそれを見せていると言う可能性は絶対に無い。
 紳士は完全に気付いていないのである!

 そう確信した私は、「社会の窓」が開いている事を告げるべく紳士に近寄ろうとした。
 と、その時である!
 ステッキを突いた紳士の足の向いている方向に、トイレが在る事に気付いたのは。
 無論私は無言でトイレに入る彼を見送った。
 してみると紳士は少しでも用を足し易くする為、フライング気味に「チャックオープン予約」をしていたのであった。
 
 と、ここで一つ。
 私は今し方、「チャックオープン予約」、と、言ったが、チャックは既にオープンされており、チャックオープンする為の予約でなく、用を足す為の予約なので、正解にはステッキの紳士の行動は、「予約チャックオープン」、となる、と、恐惶謹言させて戴く。
 そんなのどっちでもいいか。
 かしこ。
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