第58話 「擬態」に大失敗したおじさんこと、「JK女装爆弾」

文字数 1,331文字

 前々から思っていたのが、腐女子と言われるオタク女子達の好むBL漫画の世界と言うのは、実際に存在するのか、と、言う事。
 それは何処迄行っても女性が女性の為に描いた美し過ぎる話であって、現実世界からは程遠いそれこそ御伽話ではないのかと思うのだ。
 私は直木賞作家三浦しをんのファンなので、
彼女の愛するBL漫画がどのようなものなのか、と、以前著名なBL漫画家の作品を立ち読みした事がある。
 まぁ、ストーリーは一旦横に置いて、そこに描かれている男たるや、それはそれは綺麗な男達ばかりで、その綺麗さは現実離れしていた。
 何故その事に触れるのかと言うと、先日思い知ったからである。
 現実はそんなに綺麗なものではない、と、言う事を。
 また衝撃の余り「それ」を見た刹那、私は棒立ちとなって、瞠目を禁じ得なかったのだ。
 或いは何故「それ」の事を「それ」、と、言うのかも重ねて以下に記させて戴く。

 皆さんお笑い芸人の「肉糞太郎」こと、野性爆弾の「クッキー」をご存じだと思うが、例えば眼の前を「クッキー」がウィッグを被り、JKの女装をして歩いていたとする。
 しかも見せパンなのかどうかは一旦横に置いて、パンツをスカートから喰み出させていたとしたら、どうか。
 貴方ならどうする?
 恐らく周辺に居るカメラマンを探すだろう。
 もし本物のクッキーなら、必ずカメラマンがその周辺に居る筈。
 で、カメラマンが居た事を確認してから、あっ、これはテレビの撮影なのか、と、言う事になり、笑いも出来るだろう。
 しかし私が「それ」を見掛けた際は、何処を見てもカメラマンが居なかったのだ。
 カメラマンは疎か通行人さえ道を開けるので、周りに全く人が寄り付いていないのだ。
 つまり「それ」は本物の「クッキー」ではないのである。
 その時点で笑えるどころか、最早それはもうホラーでしかない。
 以後「それ」の事を「JK女装爆弾」と称する事にしよう。

 もしBL漫画好きの女子が「JK女装爆弾」を見たらどうだろう。
 現実との余りの激しいギャップに、その日からBL漫画を読む事を止めるかも知れない。
 また親子連れが「JK女装爆弾」と出会った際に、お母さんはちびっ子達に何と言って説明すれば良いのか。
 或いは女子高の教師が補導の為新宿に出向き、「JK女装爆弾」に出会ったとする。
 絶対に自分ちの女子高生を補導するよりも、「JK女装爆弾」の通報を優先するべきだ。
 本当に酷かったのである。
 以前に二人のプリキュアのコスプレ変態女装おじさんを18Rとしたが、その18Rを上回る酷さだった。
 あれを最早「女装」とは言わない。  
 言うならば昆虫の「擬態」である。
 それも大失敗した。

 これ以上は何も言うまい。
 もし新宿で何方か「JK女装爆弾」を見掛けた際は、必ず当局に通報されたい。
 仮に「JK女装爆弾」への「擬態」前であってあってもだ。
 あっ、それは無理か?
 幾ら何でも「擬態」前は普通のおじさんだから、分かるまい。
 と、そう考えると、街行くおじさん達全員が「JK女装爆弾」に見えてしまう私であった。
 
 まぁ、兎にも角にも、これを読んだ人は一刻も早く、「JK女装爆弾」の事を忘れて戴くように、と、恐惶謹言させて戴く。
 かしこ。

 
 
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