第33話 パパこと、年の差カップルの彼?
文字数 1,247文字
先日電車の中で年の差カップルを見掛けた。
その時彼等2人は私の眼の前に立っていた。
私は座っていたのだが、カップルの男性の方が自分より年嵩で席を譲ろうかとも思った。
が、しかし2人を一瞥した後直ぐに止めた。
年嵩の男性の方が仕立ての良さそうなコートを着ており、そのコートの中からチラと垣間見えるスーツも上物である事は間違いなし。
その上腕には超高級時計をしている。
普段の彼は電車に乗らないように見受ける。
それに白髪混じりだが、マスク越しにもちょっと格好良いのである。
益してや連れている彼女が切れ長で涼しい眼をしていて、マスク越しにも飛び切りの美女である事は間違いないと言う有り得ない状況。
しかもその彼女の年の頃たるや、10代後半から20前後と言ったところ。
そして彼女もまた凄く身なりが良い。
それにどちらかと言うと派手めだ。
そんな二人が父娘な訳が無い。
彼女が愛人と呼ばれる類の女性である事は疑いようが無い。
畢竟それ等の理由をして、私に席を譲らなせなかったのである。
自家用車が故障したとか、或るいは急いでいてタクシーより電車の方が早く着くからとか、そんな理由でたまたま電車に乗ったのだろう。
やがて彼女の方が年嵩の彼に言った言葉で私の想像が決定的となり、意地でも席を譲ってやるか、と、再び決意を固めた。
「ごめんパパ、ライン来た。
ちょっと待ってて」
私が、「ゲッ、マジで」、と、思った事は言う迄も無い。
こんな真っ昼間から「パパ」、等と、電車の中と言う公共の場で口走るとは、許せん!
と、怒り心頭の私だったのだが、次いで発せられた彼女の言葉を聴いた私は、「ゲッ、マジで」、と再び驚愕を禁じ得ない状況となった。
「何かママもう先に着いてて、物件の内見始めてるって。
ねえ、パパ、私さっきの学校の近くの物件よりこっちの方がいい。
ほら、これママが写真送ってくれたの見て。白のが可愛い〜」、と。
何と父娘だったのである。
そう言えば今は2月。
コロナ禍と言えど春入学の学生は部屋を探す時期ではないか。
電車に乗って学校から下宿迄どれくらい時間が掛かるのか、或るいはどう言うルートで通学するのか、そう言う事を確認すべくお父さんは娘の為に普段乗り慣れない電車に乗ったのだ。
しまったぁ、己の悪意に満ちた邪推が何とも恥ずかしい。
お許しあれ。
と、直後の私が、直ぐ様その「お父さん」に席を譲った事は言う迄もない。
その日所用で銀座に出掛ける事になっていたのだが、銀座の街を歩いていて何組かの年の差カップルに出会った。
彼等は一体父娘なのか、カップルなのか、或るいは夫婦なのか。
うーん。
難しい問題だ。
それに一体相手の事をパパと言い出したのは、娘が先なのか、愛人が先なのか、或るいは妻が先なのか、誰が1番先なのだろう。
鶏が先か卵が先か。
しかしどうにも「パパ」、と、言う言葉は示唆する存在が多過ぎて困る。
と、同時に、便利な言葉でもある。
そんな何とも悩ましい「パパ」なのである。
その時彼等2人は私の眼の前に立っていた。
私は座っていたのだが、カップルの男性の方が自分より年嵩で席を譲ろうかとも思った。
が、しかし2人を一瞥した後直ぐに止めた。
年嵩の男性の方が仕立ての良さそうなコートを着ており、そのコートの中からチラと垣間見えるスーツも上物である事は間違いなし。
その上腕には超高級時計をしている。
普段の彼は電車に乗らないように見受ける。
それに白髪混じりだが、マスク越しにもちょっと格好良いのである。
益してや連れている彼女が切れ長で涼しい眼をしていて、マスク越しにも飛び切りの美女である事は間違いないと言う有り得ない状況。
しかもその彼女の年の頃たるや、10代後半から20前後と言ったところ。
そして彼女もまた凄く身なりが良い。
それにどちらかと言うと派手めだ。
そんな二人が父娘な訳が無い。
彼女が愛人と呼ばれる類の女性である事は疑いようが無い。
畢竟それ等の理由をして、私に席を譲らなせなかったのである。
自家用車が故障したとか、或るいは急いでいてタクシーより電車の方が早く着くからとか、そんな理由でたまたま電車に乗ったのだろう。
やがて彼女の方が年嵩の彼に言った言葉で私の想像が決定的となり、意地でも席を譲ってやるか、と、再び決意を固めた。
「ごめんパパ、ライン来た。
ちょっと待ってて」
私が、「ゲッ、マジで」、と、思った事は言う迄も無い。
こんな真っ昼間から「パパ」、等と、電車の中と言う公共の場で口走るとは、許せん!
と、怒り心頭の私だったのだが、次いで発せられた彼女の言葉を聴いた私は、「ゲッ、マジで」、と再び驚愕を禁じ得ない状況となった。
「何かママもう先に着いてて、物件の内見始めてるって。
ねえ、パパ、私さっきの学校の近くの物件よりこっちの方がいい。
ほら、これママが写真送ってくれたの見て。白のが可愛い〜」、と。
何と父娘だったのである。
そう言えば今は2月。
コロナ禍と言えど春入学の学生は部屋を探す時期ではないか。
電車に乗って学校から下宿迄どれくらい時間が掛かるのか、或るいはどう言うルートで通学するのか、そう言う事を確認すべくお父さんは娘の為に普段乗り慣れない電車に乗ったのだ。
しまったぁ、己の悪意に満ちた邪推が何とも恥ずかしい。
お許しあれ。
と、直後の私が、直ぐ様その「お父さん」に席を譲った事は言う迄もない。
その日所用で銀座に出掛ける事になっていたのだが、銀座の街を歩いていて何組かの年の差カップルに出会った。
彼等は一体父娘なのか、カップルなのか、或るいは夫婦なのか。
うーん。
難しい問題だ。
それに一体相手の事をパパと言い出したのは、娘が先なのか、愛人が先なのか、或るいは妻が先なのか、誰が1番先なのだろう。
鶏が先か卵が先か。
しかしどうにも「パパ」、と、言う言葉は示唆する存在が多過ぎて困る。
と、同時に、便利な言葉でもある。
そんな何とも悩ましい「パパ」なのである。