第141話 終わりに

文字数 1,390文字

 思えば5ヶ月に亘り1日1話を貫いた本作。
 気付けば140作にも及んだ
 良くもまぁそんな事が出来たもんだと、自身でも感心すると言うか、呆れると言うか。
 明日から書かないのかと思うと、私自身がこの「ゲッ、この人マジで」ロスに陥りそうだ。

 しかし何故そんな荒行に挑戦したのか? 
 何故本作を完遂出来たのか?

 それはやはり、授賞する為に書いたからでは無かったからだと思う。
 当初は軽い気持ちでエッセイ賞に参加しようとした私であったが、他の出品作を読むに付けとても自分には勝ち目が無い事を悟った。

 では賞を取れなければ、落選すると分かっていたら、その賞レースには参加する意義が全く無いのか?

 否、しかしそれは違うのではないか。
 1日1話を為し遂げれば、自身の力も付く。
 死力を尽くして、このコロナ禍の現実を生きる人達の今が書ければ、必ずや。
 何よりたとえ選考委員に認められずとも僅かでも読者が居れば、このコロナ禍に笑って貰う事が出来る。
 それだけで意義が有るのではないか。
 否、参加する意義は、そこにこそ有るのでは無いのか、と、思い直した私。
 心底そう思った。

 今回の「やるも地獄、やらぬも地獄」の東京五輪パラはさておき、五輪もパラも参加する事にこそ意義が有るように、賞レースも参加する事にこそ意義が有るのだ。
 そしてその事を胸に参加資格を自身で「1日1話」と定め、エッセイ賞参加の記念すべき今日と言う日を迎える事が出来たのである。
 ここで本作を読んで戴いた方々に、感謝の意を表したいと思う。

 この作品を読んで戴き、本当にありがとうございました。

 ファンレターを下さった「水瀬そらまめ」さん、「楠木斉雄」さん、「宮城アポロン」さん、暖かいコメント本当にありがとうございました。

 今日ここにこの作品を完遂し、エッセイ賞に参加する事が出来たのは皆様方のお蔭です。
 とは言え応援して戴いた皆様方には申し訳ありませんが、恐らく本作は落選します。
 選考委員の眼に留まる事は無い、と、私自身確信しております。

 しかし大切なのは賞レースに選ばれる事では無いのです。
 自身の為、読んで戴ける読者の為にこそ、我々は死力を尽くすべきなのです。
 選考委員の為に書くのではないのです。
 そして私を含め文学賞に落選し続ける皆様方に、その事をこそお伝えしたい。
 何度落選しても、落選すると分かっいても、書く事を止めないで欲しいのです。
 自身の為に、1人でも読んでくれる人の為に、貴方は書き続けるべきなのです。
 美辞麗句を並べるより、自身でその範を示すべきとの思いも有った本作。

 そして皆様方には来るべきこのエッセイ賞の授賞者発表の日に、授賞作に思いを巡らせた後の、ほんの数秒で良いのです。
 落選した私の事を思い出して欲しいのです。

 落選したとは言えお前も良く頑張った。
 お前は死力を尽くした。
 確かにコロナ禍の今を書いた。
 参加する事にこそ意義は有った、と。
 私の落選を誉めて戴きたいのです。

 そして貴方もその日から書き始めるのです。
 手を止めずに参加し続けるのです。 
 何故ならそれがこのエッセイ賞に参加した私への、最大の賛辞だからです。

 最後にもう一度申し上げたい。
 本作を今日迄読んで戴いた皆様、本当にありがとうございました。
              松平 眞之

                   了

 
 
 
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