第45話 ショートパンツの女子こと、男共を薙ぎ倒す女子

文字数 1,235文字

 先日新宿の街を歩いていた時の事。
 向こう側から歩いて来た男性が突然ペットボトルを取り落とした。
 またほぼ同時にその横を歩いていた男性も、同じようなタイミングで躓いたのである。
 ん?
 何事が起こった?
 と、その二人の視線の先を辿ってみると、なる程そりゃそうなるわなぁ、と、言う光景がそこには確かに有った。
 何とも凄いデザインのショートパンツを履いた女子が、男共の視線の先でスマホを弄りながら立っているではないか。

 今時普通のショートパンツならそこ迄の事にはならないのだろうが、私さえ凝固を余儀なくされてしまった彼女のそのショートパンツは、それならいっその事履か無い方が良かったのではないか、と、言うような過激なものだった。
 芸人の「とにかく明るい安村」のギャグに、「安心して下さい。履いてますよ」、と、言うのがあるが、そこで彼女にそう言って貰えると、きっちり落ちが付くような状況なのだ。
 解説するとその彼女のショートパンツの左側が、下着のギリギリ見えない処でカットされており、腰の下くらい迄肌が見えているのだ。
 ググってみると、「(絶対領域迄カッティングされた)、マイクロミニショートパンツ」、と、言う商品のようであった。
 用途はと言うとパーティやコスプレで、と、なっているので、少なくとも普段履きのショートパンツとして製品化されたものでは無さそうだが、彼女は普通に街中で履いていたのだ。
 私は我知らず暫く凝視していたのだが、当の本人の彼女はずっとスマホを弄っていて、自分のせいで廻りの男共に何が起こっているかなど、何処吹く風で全く気付いていない様子。

 してみるとスタイルの良い彼女は、ダンサーなのだろうか?
 それならそれでステージ衣装のまま外へ出たのか、或いはストリートダンサーなのか、と、
言う事にもなろう。
 まぁ、ダンサーなのか或いはそうでないのかは別にして、彼女に悪気の無い事は分かる。
 しかし街の平和の為に、今後はジャケットかコートの下に見えないようにして履くか、或いは夏迄待って海辺で履いて貰えないものか。
 今回は歩行者だったからその程度で済んだものの、男共が運転中に彼女を見ようものなら玉突き事故にもなり兼ねない。
 
 と、表向き真面目な事を言っている私だが、その日の自分を幸不幸で言えば、それはもう絶対幸運であったと言えよう。
 但しググった結果判明した、「(絶対領域迄カッティングされた)、マイクロミニショートパンツ」、と、言う商品名は如何なものか。
 その商品名ではどんなショートパンツか、良く分からないではないか。
 私が命名するならこうだ。
「(見た人を幸運にする)、アクシデントショートパンツ」。
 で、但し書きに、「街中で履く場合はアクシデントに要注意。なるべく上着着用で」、と。

 また運転中の男性がそのショートパンツを履いていそうだなぁ、と、思う女子を見掛けた、と、思った瞬間、必ずブレーキを掛けて停車させてから見て戴く事を恐惶謹言させて戴く。
 かしこ。


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