第184話 無謀な試み

文字数 1,247文字





 チュンチュン……。

 



 どこかで鳥がさえずっているニャ。



 いつの間にか、肌を撫でる風が暖かくなっている気が……







ハッ……!

もう夜が明けてたニャー!




 慌てて起き上がり、辺りを見回す。



 幸いなことに、周囲にほかの猫がいそうな気配はない。



まさかこんな野原で無防備に寝転がって、朝まで眠ってしまうとはニャ~


とにかく、猫とかほかの動物に襲われなくてよかったニャー




 安堵(あんど)しつつ顔を二、三度こすって、手足をグッと伸ばしストレッチ。



 起床時に体をほぐして準備運動しておくのが、猫の習慣ニャ。



それにしても、昨日はさんざんだったニャー


あっしが裏切者だとバレちゃったし


せっかくヤミミンと再会できたのにモメちゃったし


ついでに言うと、新入りさがしを放置したままだしニャ……


やっぱりあっしは、底辺モブのダメ猫なのかニャア……




 自分がどうしようもない存在に思えて、気が滅入(めい)ってくる。



 なんだがケンカに負けたときのような後味の悪さニャ。



あ、ケンカといえば――!




 あっしの頭に、ポンッとふたりのボス猫が浮かびあがった。







ジロリ組と、ねこねこファイアー組の決着はついたのかニャ?








フニャアアア……




 あっしはゲンナリしつつも、組の勝敗について考えてみた。



さすがにふたりがどれだけ強くても、一晩中戦えばカタがつくはずニャ


だとすると、勝ったのはジロリ組?


まさかのねこねこファイアー組……!?




 ねこねこファイアー組が勝っても、あっしにメリットは無いニャ。



 待っているのはきっと、さらに調子づいたトウとリャクにいじめられる超絶理不尽な日々だろうからニャ……。



フニャアアアア~!

お先真っ暗ニャ~~~~~ッッッ!








……って、焦ってばかりもいられないニャ。

毛づくろいして、気持ちを落ち着けニャいと……っ!




 毛を舌でペロペロすると、少し気分が(しず)まってきた。



ふぅ……。

なんにしても勝敗がわからないのは困るニャ


いっそ廃工場へ戻って、事情を確認してみるかニャ


でもニャ~……、

ねこねこファイアー組のメンバーに出くわすのは嫌だしニャ~……




 ぼんやりと青空に浮かぶ間延びした雲を見るともなく見ながら、どうしようかと考えていると……



あっ!


ひとまずサカナの置いてある河川敷に戻ればいいのニャ!


そうすればジロリ組のメンバーと再会できるし、戦いの結果がわかるはずニャ!




 たいしたことじゃないかもしれニャいけれど、我ながらいいアイデアが浮かんだニャ。



 裏切者のあっしがみんなに会うのは、ちょっと気まずいけどニャ。このままここにいても仕方ないニャ。



そうと決まれば、さっそく土手に向かって出発ニャー!




 あっしは野原を走り、草深い茂みを抜け、遠くに流れる川の音を頼りにひたすら進んでいく。



ニャララ~♪

春の爽やかな風が心地いいニャー♪




 機嫌よく歩いていたのも束の間――



 思いがけず、事件は起きた。



お、あんなところに猫がいる



ホンマや



ニャッ!?

人間ニャ!?




 声のするほうへ振り返ってみれば――



 少し離れた場所から、ふたりの人間がジッとこっちを見ていた。


























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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