第19話 ボス猫に敵う者なし

文字数 667文字





オメェら、よ~~~く聞け!


多数決で1対7だろうが100対1だろうが、無意味だ! 



すべての決定権は、ボス猫である俺にあるんだからな!






な、なんだってー!?



フッ、驚いたか新入り。

これぞボスならではの〝特権〟なんだぜ


つまりどれだけ意見を出そうが、俺が気に入らなきゃ却下できるってことだ!



アカン!

うっかり忘れてヘタ打ってもうた!



いまさらうろたえても遅いぞ!

ボスの意向にそぐわない者は、ボスに逆らったも同然!



そ、そんニャー!?



逆らう気なんてないですニャー!



No~、誤解デス!



掟の効果絶大にゃね。

みんなをあっという間に丸め込むとは……



別に丸め込んじゃいねぇよ。

俺はただ、みんなの目を覚まさせたかっただけだ



いくら言っても、マウティスの目は覚めないでしょうけど



ぷにゃんぬ!



ボスのひと声ですべてが決まるなんて……、

す、すごいルールですね……!



これも代々続く掟の一つさ。

横暴だと思うか?



あ、いえ……



本音を隠すのがヘタだな、オメェは


異論があるのはわかるが、タダでさえまとまる気のねぇ猫どもを従えるにはコレしかねぇんだ


猫社会は実力主義。

強い者には従うからな



それじゃあ、妹さがしの件は……



ああ、任せろ。

お前の妹は、みんなで協力してさがさせる



ボス……!




 新入りは表情を一変させ、うれしそうに涙ぐんだ。



 それまで(まと)っていた暗いオーラがたちまち霧散(むさん)し、光の粒子を散りばめたような輝きに転じる。



 一方、手伝い反対派のマウティスはというと……



えぇ~、めんどくちゃいにゃあ~



 

 あからさまな不満顔で、ブーブーと鼻を鳴らすように声をふるわせはじめた。





















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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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