第57話 策謀をめぐらせる猫たち②
文字数 1,358文字
ねこねこファイアー組がとんでもない計画を企てていることはわかったにゃ。
その一方で……
落ち着きもなくシッポをパタパタさせている猫がひとり。
どうしたにゃ? モブニャン。
目つきも穏やかじゃにゃいし、ピリピリムード一色って感じにゃも。
トウとリャクが現れた途端、様子が一変したように見えたけど……対立関係にでもあるのかにゃあ?
ジロリ組のボスは、西に向かった模様ですニャ!
連れはひ弱な新入り猫ひとりだけですニャ!
ジロリ組のボス猫はともかく、新入り猫のほうは相当なヘタレですニャ
隙をついて新入り猫をネコ質にでも取れば、敵を追いつめられるに違いありませんニャ!
ぐにゅにゅにゅにゅう……!
こっちの提案を頭ごなしにバカにして……!
……ふ~みゅ。トウとリャクの言い方はともかく、たしかにビミョーな提案だにゃ~
ボスにゃんは強いにゃも。新入りをネコ質にする前に、蹴散らされるのがオチだと思うにゃよ
おそらく町はずれの土手だと思いますニャ。
正確な場所まではちょっと……
はい……。
なにしろ、あっしはここに来るまでのあいだ、ジロリ組の幹部・マウティスと行動していたもんですから……
にゅふふ!そうにゃもそうにゃも。
あのマウティスにゃも!
偉大なるマウティス、
美々しきマウティス、
知恵の女神、
いかようにも形容してくれて構わないにゃよ!
物陰からウチに見られているとも知らずに、モブニャンは堂々と言い切る。
ご安心くださいニャ。
ちゃんと足がつかないよう途中でうまく巻きましたニャ!
にゃはー! うまく巻いた?
とんだバカちくにゃね!
巻くどころか、シッポ掴まれてるにゃよ。
だからウチはこうしてこの廃工場に潜入しているのにゃも。
それにしてもモブニャンときたら、さっそくネコの集会の掟をやぶって情報を横流しするとはにゃあ。
爪出しビンタ一発くらいじゃ到底許されない罪にゃよ。
覚悟しておくといいにゃ
親分!
迷子捜索中のジロリ組の不意を突くべきですニャ!
悔しそうに提案するモブニャンに対し、トウとリャクは威を張るようにアゴを上げフフンと鼻で笑ってみせる。
んなチマチマしたことやったって、どうせ逃げられるに決まってんよ
おまえはタイパって言葉を知らねーのか。効率重視でみんなまとめて袋叩きにするほうがいいに決まってる
どうやらモブニャンは、トウとリャクを目の敵にしてるようにゃねぇ
どんな因縁があるか知らにゃいけど、敵勢力の仲間内バトルは大歓迎にゃよ。
気をつけていたつもりにゃんだけど、ちょっと声が洩れちゃったにゃ!?
紅が怪訝そうな顔をウチのほうへ向けてきた。
独り言は超サイレントニャーにして、お口を閉じにゃいと……!
ウチの姿は金属板にほとんど隠されているおかげで、遠目じゃまずバレることはないはずにゃんだけど……
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