第71話 みんなの決意

文字数 1,318文字





 俺の決意は定まった。



 あとはそれをみんなに伝えるだけだ。



改めてねこねこファイアー組のアジトへ俺と同行するメンバーを発表する


まずは、インテリ



はい



テンダ



ういっす



キンメ



ほいさ



ミミ



まかせてなの~



ヨウ



ラジャー



以上だ



えぇっ!?


ボ、ボクは、どうなるんですか……!?



オメェはここらで待ってろ。

ヨツバと一緒にな



えぇっ!?


あたしも置いて行かれるんですか!?



オメェは最初から一緒には連れて行かねぇつもりだった



どうしてですか?



オメェの放つフェロモンは魔性だからだ


精神を高揚させ血をたぎらせるが、同時に冷静な判断力も奪う


みんながいるのに暴走なんかしたら統率が取れねぇだろ



そ、そんなぁ……。

あたしはもっと親分さんに協力したかったです……!



シッシッ! 

しつこいメス猫だねぇ! 


いらねーったら、いらねーんだよ!



おい、ミミ。

戦う前からそうカリカリすんな



フンッ!



せめて、遠くからでもお手伝いできることはありませんか?



んじゃ、メシの確保でもしといてくれ。

ここに戻ってくる頃には腹ペコだろうからな



わかりました




 話が一段落し、再び歩みだそうとした矢先のこと――



 群れる猫たちの最後尾から、ひとりの猫がそそくさと姿をのぞかせる。



あ、あの……親分さん


あっしは?



あ……



あ……



うっかり忘れちまってたぜ



いくら存在感が薄いからって、ヒドイっす!



そう嘆くな。

ミスは誰にでもあるものだ








ところで、モブニャン。

オメェがうちの組に来てから、どれくらいになる?



もう数か月は経ってると思いますニャ



んじゃ頃合いだな。

オメェは今日から下っ端卒業だ


これからは好きなように名を名乗っていいぞ



えっ!? 

いいんですニャ!?



ああ、構わねぇよ



あっしの名は、熊介くますけっていいますニャ!








わかった。熊介だな


んじゃ、熊介。

オメェを信頼して任務を与える



ニャッ!?

任務ですかっ?



そうだ。

新入りとヨツバを守ってやってくれ



守るって……、

あっしに護衛を務めろと!?



むろん無理にとは言わねぇ。

護衛は簡単じゃねぇからな


だが最後まで任務を放棄せず、やり抜く覚悟があるならぜひやってくれ



かしこまりましたニャー!




 それまでビビリがちだった熊介が、俺の言葉を受けてピシッと姿勢を正すと、(こころよ)く応じてくれた。



 これからいっそう組員としての自覚が芽生えてくれればなによりだが。



すみません……。

お、お世話になります



よろしくね、熊介さん



あっしは腕力に自信はねぇですけど、務めはしっかり果たすって決意しましたニャー!


だから、護衛は任せてくださいニャー!



おう、頼んだぞ!




 熊介は下っ端から昇格してすっかりご機嫌だ。



 意気揚々な姿が眩しいくらいだぜ。




 さて――



 ひとまず新入りたちの身の安全はこれで確保できたから、あとは廃工場に行くだけだ。



んじゃ行くぞ、みんな!

準備はいいかー?



はっ!

諸事万端(しょじばんたん)(とどこ)りなく



みなぎってきたで~!



ねこねこファイアー組なんて、返り討ちにしてやるんだから!



毛を汚さないよう気をツケマス!



はっはっはっ。

腕が鳴るっす!




 それぞれ気合いの入ったいい返事だ。



 みんなで力を合わせれば、なんでもできる気がしてくるぜ。



闇の集会だか何だか知らねぇが、このジロリ組にケンカを売ったことを後悔させてやるぞ!

























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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