第47話 犬の鼻はすごくいい 気まぐれな猫はかわいい

文字数 2,096文字




突然ですが、新キャラが加わったのでご紹介します


ご紹介するのは、前回登場したセントバーナードのダイゴローでーす!





 ◆◇◆ 追加ワンコ ◆◇◆ 



ダイゴロー

犬種:セントバーナード


カメの店のオーナーの飼い犬


天気のいい日は外の小屋でくつろいでいる


体重90キロの超大型犬


遠い地で別々に暮らしている病気の兄弟犬を見舞うため、しばらくジロリ町を離れていた


関西出身にちなんで、

『ナニワ犬』と呼ばれることも



大きくてかわいいワンコさんですね!


それでは引き続き本編をお送りします





ひさしぶりやな。

ジロリ町の猫ボス、プルート


〝また〟厄介事か?



〝また〟は余計だぜ。

俺たちがしょっちゅうトラブル起こしてるみたいじゃねぇか



事実そーやろ。

猫はケンカばっかりしよるからな



オメェら犬だって、縄張り意識はかなり強ぇーだろ


犬同士リードにつながれてなかったら、余裕でバトルに発展するだろうが



フハッ!

おれくらいになると、そんなことくらいでブチキレたりせぇへん


安きこと泰山(たいざん)(ごと)しや!

精神的なゆとりがちゃうからな



さすがやわー。

相変わらず悟りひらいた仙人みたいなキャラしとる



おう、キンメ。

お前さんのほうこそ相変わらずやな


目ン玉、パチンコ玉みたいにピカピカしとるで



ワイの瞳は純度100パーセントの金でできてまんねん。

そこらの玉と輝きが違いますやろ?



んなわけあるか。

アホぬかせ!




 このナニワ犬・ダイゴローはんとはちょっと前からの知り合いや。



 昔からカメの店の番犬しとったから、ジロリ町ではかなり知られた存在やし顔も広い。



 けど、しばらく故郷に帰ったとかで音沙汰あらへんかった。



 せやからずっと家に籠りきりやった新入り猫みたいなモンは、このナニワ犬のことを知らんかもしれへん。



す、すごい……! 

なんて大きな……生き物なんだ……!




 案の定、あれが犬かもわからず畏怖(いふ)しとる。



そうビビらんでええ。

体は山のようにでっかいが、心は湖みたいに穏やかやねん



湖はちと盛りすぎでっせ。

そこいらの水たまりよりはええかもしれまへんけど



水たまり言うな



ところでさきほどの話だが




 インテリ兄さんがシュッとした顔をナニワ犬のほうに上げて、話を戻す。



あの生垣周辺の残り香は、ねこねこファイアー組の者達のニオイと断定してよいのだな?



かまへん。

ニオイ判定には自信あるさかい



けど、なんで謎オスのニオイがねこねこファイアー組のヤツらやってわかったんです?



飼い主さんと散歩しとったとき、ねこねこファイアー組を名乗るヤツらとすれ(ちご)うたことがあんねん


せやから、そいつらのニオイはインプット済みや



けどよ、オメェはリードに繋がれてるから、ニオイの現場まで届かねぇだろ


現場をじかに匂ってもいねぇのに、憶測でテキトーなこと言われちゃ困るぜ



アホか! テキトーやない!

あの程度なら近づかんでもわかるわっ


犬の嗅覚ナメとったら、あかんど?

猫ら以上に微々(びび)たるニオイも逃さへんからな!



ええっ!?

そ、そんなに細かくニオイを分析できるなんて……!



屁ぇこいたら絶対にバレる



あれをバレへん思うとるのは飼い主だけや



そんなに鼻の利く犬が言うなら間違いありません!


妹さんは、ねこねこファイアー組のヤツらに誘拐されたんです!



うるさいメス猫だねぇ。

アナタがしゃべると不快なニオイがプンプンしてくるのよ。黙っててちょうだい



不快だなんて、ヒドイ! 

ここに来る途中、コウくんはイイ香りって言ってくれました!



ちょ――っ!? 

バ、バラさないでぇ~っ!



はっはっはっ。

キミたちは元気だねぇ



いやいや副ボス、笑ってる場合ちゃいますって


早うふたりを引き離さへんと、本気でフーッとかシャーッとか始まりまっせ



まさにキャットファイトだな!



ドヤ顔キメとる場合ちゃうやろ



はっはっはっ




 副ボスは若干乾いた笑いを響かせながら、ミミとヨツバのあいだに入っていく。



 争いに発展しないよう牽制(けんせい)してくれたようや。



猫が集まるのはええけど、店先で暴れられんのは迷惑やからな


これ以上売り上げが下がると、オーナーの心労がかさんで髪が絶滅してまうわ



つまり、すでにオーナーの頭はハゲつつあるのか



お前さん、えげつないな……。

せっかく曖昧な表現つこうたのに、はっきりハゲていわんとってや



ハゲといえば昔から疑問やねん。

なんで人間て、あんなにハゲるんやろ?


同じ飼い主でも髪の減退具合をビフォーアフターで比べると、遠目に見分けつかへんほどヤバなるで



じつはウチの飼い主も、近頃どんどん薄毛になってきているのデス


時々ワタシの毛を撫でながら、(うらや)ましそうに抜け毛を見つめて、深々とタメ息を()らすコトモ……



世知辛(せちがら)いな



アカン! 

笑いが止まらへん!



あ、あの……

話がすごく脱線してませんか?



あ……



……



……



……



まぁ、気まぐれなのが猫やし


てへっ




 こんなときはかわいくアピッてゴマかすに限る!







 ワイの秘技・愛想ウインクは人間に効果絶大なんやで~!




 これで少しは場が和んだと思いきや……



……




 ヨツバはムッとしたように顔をしかめ、両手にグッと力を込めている。




 悲報・ワイの秘技、猫相手に不発に終わる……。






















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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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