第37話 みんなと一緒
文字数 1,161文字
ジロリ組のインテリさんが、ハトを使ってボスに伝言を送ってきた。
一体どんな内容なんだろう……？
伝言は、新入りに関することだ
えっ、ボクですか！？
ああ。
〝妹の痕跡〟あり、だとよ。
よかったな
いや、見つかったなら、
「発見した」というはずだ。
おそらく見つけたのはニオイだけだろう
インテリか、他の誰かが妹のニオイを嗅ぎつけたに違いねぇ
伝言にあった、〝不穏の気配あり〟っていうのが気になるがな
ただそんな感じがするっていうだけの話だろ
安心しろ
ってか親分、向かうっていっても場所がわからないんじゃどうしようもないっすよ
するとハトが追加情報を伝えるかのように、ボスに向かって鳴きだす。
クルッ、クルルルル！
……インテリ、待ってる。
カメの店――……
ジロリ町の東にあるペットショップだ
店先にでけえカメの置物が飾られてるから俺たちのあいだじゃカメの店って呼ばれてる
その辺りでインテリが待ってるらしい
情報を伝えきったらしく、ハトは翼を羽ばたかせて上空へと飛び立っていった。
そのはずだ。
俺らのいる場所と真逆の方向だが、行くしかねぇ
オレもお供するっす。
カメの店のある東地区は、オレの管轄っすからね
あの……、
あたしは、どうすれば……？
オメェが厄介な状況におかれてるってぇのはよくわかった。
だがオメェはよその縄張りの猫だ
それに新入りの妹さがしの件と、オメェの家族がねこねこファイアー組にボコられた件は、まったく関係がねぇ
ボス！
ヨツバちゃんを見捨てないであげてください……！
ボス！
どうか、お願いします……！
ボスは鼻からフゥーと息をはき出す。
それからボクの顔を見て、薄っすらと苦笑いを浮かべた。
……わかったよ。
そこまで懇願されちゃ断れねぇ
よほどうれしかったのか、ヨツバちゃんの青い瞳がキラリと輝く。
ボクはその魅力にやられて、つい舞い上がってしまった。
オラ！
のぼせてねぇで、とっとと行くぞ！
腰を上げ、乾いた土の上を歩きだす。
共に歩むのは、ボス。それにヨツバちゃんたちもいる。
みんな今日出逢ったばかりの猫たちばかりだ。
だけどみんなと一緒なら、見知らぬ土地も怖くはない気がした――。
(ログインが必要です）
