第53話 したたか猫は語る

文字数 1,810文字




にゃはははは!


このマウティスに語らせるとは、思い切った判断をしたものにゃね


ウチは独善的で忖度(そんたく)無視にゃよ?

読者の都合にゃんて、お構いにゃしにゃよ?





 そのほか擬音多用、説明不足。

 大事な場面だろうと、「ニャー」語連発、その場のノリで済ますにゃも。




まぁそれでもよければ、マウティス視点でやってあげてもいいけどにゃ~


ただし報酬あっての話にゃよ。

ウチはタダ働きにゃんてしたくにゃいも


報酬はニャオ☆チュールだけじゃ足りないにゃ。

粉末マタタビ一週間分もつけてにゃ♪




 とはいえ、これまでの過去を語れって言われても困るにゃねぇ。




 昔のことにゃんて、ほとんど憶えてにゃいも。




だって過去は過去だからにゃ~。固執しても仕方にゃいし


くあぁぁぁぁ~!

考えるだけでアクビが出るにゃ


ふわぁ~……、

だけど()いて言うなら、家族の思い出は深いにゃね~


じゃあ、思い出バナシは家族絡みにするかにゃ~







 知ってのとおり、ウチの父猫はジロリ町の先代ボスだったにゃ。




 強さはそこそこだったにゃね。




 いまのボスにゃんがMAX10なら、5か6くらいかにゃ。





 野良猫だけど、見た目には気を遣っていたにゃ。




 だからシニアと組み分けされる時期に突入しても若々しかったし、メス猫にもモテてたにゃ。




 聞いた話じゃ、若い頃は火遊びが絶えなかったようにゃね。




 その趣味が悪くなかったおかげか、このマウティスのような美々(びび)しい猫が生まれたのにゃ~♪




にゅふふふふ!

ここは()(たた)えるところにゃよ


万雷(ばんらい)の拍手はもちろんのこと、熱烈な称賛(しょうさん)を浴びせてほしいところにゃも!





 し~ん……




ふにゃっ!

偉大なるマウティスを(あが)めにゃいとは……っ


庶民はおとなしくこのマウティスの美々しさにひれ伏せばいいのにゃっ!





 まったくひどい扱いにゃねぇ。




 ――って、話が()れたにゃ。




 ん~、あとはにゃんだろにゃあ。




 父猫に関する思い出といえば、いつもおいしそうなニオイがしてたかにゃあ。




 頻繁(ひんぱん)に人間からエサをもらっていたおかげだと思うにゃ。




ボス猫は物怖(ものお)じしないから、人に好かれやすいのにゃ


その甲斐あって餌をもらえたりと食いっぱぐれにくいから、体型もキープされやすいのにゃよ


まぁボス猫っていっても、いろんなのがいるけどにゃ


野心ギラギラなわりに無能なのが一番困るにゃねぇ





 無能っていうのは、何も戦闘能力に限った話じゃないのにゃ。




 提案を聞き入れる度量や、他の猫に対する優しさとか、キャラ性が大事だったりするのにゃよ。




だから威張り散らしてるだけのボス猫は、猫社会でも嫌われるにゃ


強いけど面倒見が良くて、頼りがいのあるボス猫のほうが断然ウケがイイにゃね!





 そういう意味で、ウチの組のボスにゃんは理想的にゃ。




 父猫の思い出は、以上にゃね。




 母猫は、ウチがもっと幼い頃に車に轢かれて死んだにゃ。




 それまで道をふたりで歩いていたのに、一瞬で魂が消え去ってしまったのにゃ。




 あっという間だったにゃね。



 

ちなみにウチのこの紅い(たま)の首輪は、母猫の形見なのにゃ








 母猫の死のおかげで、道路の横断には誰よりも気を配るようになったにゃ。




 どうやって渡るかって?




 結論から言うと、車道を無理に渡ろうとせず、猫も横断歩道を歩けばいいのにゃ。




できれば人が横断歩道にいるときがオススメにゃね。

人と人との間に交じって、猫も一緒に渡るのがベストにゃよ


もし車が突っ込んできたとしても、先に()かれるのは的の大きい(・・・・・)人間にゃも





 つまり〝身代わり〟ってことにゃ。




 猫くらいの運動神経があれば、人間を盾にしてその場から走り去れるにゃ。




 まだそんな場面には遭遇してにゃいけど、もしもあったときのことを考えて先にお礼を言っておくにゃ。




猫のために〝人柱(ひとばしら)〟よろしくにゃ♪


ついでに〝下僕(げぼく)〟もよろしくにゃ♪

下僕は随時募集中にゃも♪♪





 下僕には、ぜひエサとトイレの面倒を見てほしいにゃね~。




 外の暮らしは自由だけど、自給自足はめんどくちゃいのにゃ。




にゃあにゃあ


誰か悠々自適(ゆうゆうじてき)に生きたいウチの望みを叶えてくれる人間は、いにゃいかにゃあ?




 

 って、すっかり話は逸れちゃったけどにゃ。




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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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