第78話 待ち受けるもの
文字数 1,142文字
闇の深い空間は、まるで光に見放されたみてぇだ。
廃工場内は、そこに生きる存在すべてが抹消されたように、生き物の気配が絶たれている。
インテリの言うように、あちらこちらに散らばるガラクタばかりだ。
入り口の両側にも、金属片やビニール、ダンボール箱やセメント袋など様々な物が散乱している。
他にもあるが、俺ら猫にはよくわからねぇシロモノだ。
その付近に連なるでかい棚にもガラクタが詰められていて、どれも砂ぼこりだったり、灰まみれだったり、おまけになんともいえないニオイを放ってやがる。
そうやって話していられるのも束の間。
廃工場に入って間もないうちに、危険なもてなしを受けるときがやって来た。
突然、上から何かが降ってくる――!
仲間たちに指示して、俺はガラクタだらけの広間の隅へと突っ走る。
みんなも躊躇することなく疾走し、頭上に迫る脅威から難なく脱出した。
ガランッ……ガランッ……!
上から落下した筒のようなものが床にはずんで転がる。
言ってインテリはその筒に近づくと片方の前足でちょんとつつく。
数メートルほどある長い筒が床をコロコロ転がる。
ミミは大急ぎで真正面に突っ走っていく。
俺はインテリやヨウの後ろに続いて、壁際を駆ける。
ガランッ――!
アルミパイプが床を打つ。
予期せず、ミミが甲高い声で悲鳴をあげた。
ミミは苦しげに吐き捨て、その場にうずくまる。
ミミはきちんとアルミパイプをよけたはずだ。
それなのに、なぜ痛がっている……っ!?
俺は焦りを感じながらも、ミミのもとへ駆け出していった。
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