第104話 謎のアレが気になる
文字数 1,318文字
ヨウのいる小部屋の前には、上部の壊れたシャッターが行く手を
そのシャッターと、壁とのあいだにある小さな隙間からは、一本の細長いヒモがとび出ていた。
ひとりでにクネクネと動く、謎のヒモ……。
それまで毛づくろいをしてたヨウだったが、
ついに片手をヒモのほうへ伸ばし、先端をつつきはじめる。
ピシッ! ピシッ!
何度かヒモに平手を打ち込んでいると、捕獲に成功した。
捕らえたヒモを肉球の下にガッと押さえ込む。
けれども細長い獲物は、まるで生き物のように床をスルスルと
俺はヨウの後ろに近づくと、その背から声をかけた。
ヨウは自分の気を
ハァ~とため息をつきたくなるが、ヨウはのんびりしたヤツで、あまり周りを気にしねぇタイプの猫だからな。
そんなわけで、気配を察知するのは不得意なんだろう。
ヨウは表情を引き締めて返事をする。
俺はヨウの隣に立って、足元のヒモを見下ろしながらじっくり観察しはじめた。
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