第30話 偵察は猫におまかせ!
文字数 999文字
ボクには突然現れたこのテンダって猫が、なにか秘密をかかえているような気がしてならない。
疑問をハッキリ指摘するのは怖いから、声量はほぼ無という控えめになる。
かすかなつぶやきは風のざわめきに呑まれて、副ボスの耳には入らなかったみたいだ。
副ボスは豪快に笑いながらも、途中から言い淀んだ。
ボスがツッコむと、副ボスはちょっと困ったように
草むらから現れたのは、一匹の猫だった。
頭に葉っぱを絡めてる猫なんて初めて見た。
ボスたちより体格は小さめだけど、体つきはしっかりしているから、漂う雰囲気からいってたぶんオスだと思う。
風変わりな猫は口元を副ボスの耳に寄せると、早口に報告しはじめた。
報告を終えると、猫はサッと身を縮め、ふたたび葉のつやめく緑の海へもぐり込んだ。
徹底されたすばやい動き。
それだけで飼い猫じゃない雰囲気がひしひしと伝わってくる。
事情はわからないけれど、副ボスはちょっと楽しそうだった。
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