第132話 復讐心
文字数 1,017文字
母猫を失い、芽生えた復讐心。
テンダを恨む矛先が、敵対する俺にも向けられる。
宙を切るような速さで間合いを詰めてくる
他の猫と比べても圧倒的に速い。
スピードに乗って、くり出される拳。
身のこなしが速いからパンチにも勢いがある。
軽めの攻撃なら手で拳をはじき返そうと思ったが、ヘヴィな一撃を浴びるのは得策じゃねぇ。
無駄なダメージは避け、ひとまず横に動いて相手のパンチを回避する。
合間に偵察猫に訴えかける。
拳を振り、反撃に転じるが――
偵察猫は俺の攻撃に対処するべく、即座に後ろへ跳ぶ。
薄布がひらりと宙を舞うような身軽な動きだ。
顔面狙いの一撃を何事もなくスッとかわす。
後方に控えていたテンダが駆け寄ってきた。
俺は背後に視線をやって、悪条件をかかえたテンダの両足を観察する。
テンダはいつもどおりの笑顔になった。
危機迫る戦いを前に笑みを浮かべるのは、強がってるからじゃねぇ。
テンダは覚悟を決めてるんだ。
弟の怨恨を責任を持って受け止めようという覚悟を――。
俺はテンダの気持ちを
積みあがったガラクタの上で、テンダとレコが対峙する。
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