第97話 知られざる秘密
文字数 1,287文字
ジロリ組に裏切者がいる――
ヤミミンはそう語った。
その裏切者が誰なのか確かめるため、ワイはヤミミンのそばに寄って話を聞こうとする。
耳元でヤミミンが囁く。
それを聞いた途端、全身にゾワッと悪寒が走った。
頭ン中はもう真っ白や。
ナメてかかったネズミに反撃喰らった並の驚きにつつまれとる。
ヤミミンはサッと身を離し、ワイから逃げるように反対方向を向いた。
ワイは顔を暗闇の向こうに黒光りする水溜まりのほうへ向ける。
ヤミミンは断固拒否や。
大声で訴えるだけ訴えて、とっとと逃げようと移動しはじめる。
ワイはすかさずヤミミンのあとを追って背後を取った。
相手が振り返る前に、両腕を瞬時に
狙いはヤミミンの後頭部。
電光石火の勢いで両腕を同時にすばやく振り下ろす。
狙いすました一撃が頭に直撃!
ヤミミンは気を
はたから見ると、気絶したっちゅうよりは、ただ草地をベッドにスヤスヤ寝入っとるようにしか見えへんけど。
ほころぶ顔を引き締めつつ、ワイは後ろへ向き直った。
見つめた彼方に黒っぽい塊が見える。
廃工場の形もわからんほどぼやけとるけど、ニオイを頼りに進めばたどり着くはずや。
ワイはひたすら闇を突っ切って廃工場へと急いだ。
(ログインが必要です)