第49話 思いがけない登場②
文字数 1,474文字
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親分が人間のほうへ近づくと、
少年だけやなく、その後ろにいた少女も駆け寄ってきた。
幸いこの子どもらは動物嫌いやなさそうや。
親分を物珍しそうに見つめながら、ウキウキした様子で感嘆の声をあげる。
などとワイらが世間話に興じているうちに、子どもたちは母親の手に提げた買い物袋を引っ張りだした。
母親らしき人間がぴしゃりと叱ると、子どもたちは熱気の冷めた萎え顔になった。
しぶしぶバッグから手を離し、母親と共に犬猫の群れから離れていく。
と、ワイがツッコんだ直後のこと――
にわかに降って湧いたようなトラブルが発生した。
店の敷地を出て道路を歩いとった親子に、小さな影が迫る。
一瞬のうちに、母親の手首にぶら提がっていた買い物袋が消えていた。
獲物に駆け寄るスピード、標的に跳びつく瞬発力……
まぎれもなく猫の仕業や。
それも、とんでもなく手慣れた猫による犯行や。
盗まれた布袋が塀を越え、風になびくハンカチのようにゆらめく。
袋を口にくわえたまま、駐車場のほうに侵入してくる猫の影。
二匹の猫は、全員あっちゅうまに植え込み付近の木へ跳びあがって、枝の上に腰を下ろした。
思いがけず登場したドロボー猫のせいで、波乱の展開になりそうや……!
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