第161話 死闘②
文字数 1,156文字
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俺はとうとう紅を
紅は今、崖っぷちだ。
生きるか死ぬかの
紅の首に突き立てた牙からは、血の味が伝わっていた。
改めて見ると、紅は全身傷だらけだった。
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トドメを指すなら、あともうひと押しだ!
俺は口全体にグッと力を入れて、牙をいっそう深く押し当てる。
焦る家族猫たち。
するとその中のひとりが動いたようだ。
猫が早足で移動する音が俺の耳に入ってくる。
紅のもとに駆けつけてきたのは、妻のイザベラだった。
……許してくださいだと?
反論するため、やむなく紅の首から口を離す。
俺の下敷きになっていた紅が反撃してきやがった。
身をひねって上半身を起こすと同時に、拳を打ちこんでくる。
ギリギリのところでよけてかわすが、攻撃は頬をかすめていた。
抜き取られた毛が数本ほど、空中に浮かんで流れていく。
それを目にして、さらなる怒りが湧きあがる。
俺は反撃の拳を浴びせようと、拳を振り上げた。
そこへ異を唱える声が割りこむ。
近寄ってきたイザベラに対し、鋭い眼光を向けて威嚇する。
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みなぎる互いの闘志。
生死をかけた死闘に幕が下りようとしていた。
だが――
俺と紅がぶつかり合う直前でイザベラがあいだに入ってきた。
いつの間にか子どもたちも俺たちのほうへ寄ってきていた。
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