第50話 ワルどもの伝言
文字数 2,193文字
突然現れた侵入者を前にして、番犬らしくナニワ犬・ダイゴローが吠えたてる。
野太い声は強烈や。
せやけど、ヒモでつながれとるのはマイナスポイントや。
ナニワ犬の首輪には太いヒモがガッチリ固定されていて、いくら動いたところでドロボー猫らには届かへん。
ドロボー猫らは悪びれた様子もなく、買い物袋からドッグフードの袋だけを引っ張りだす。
少年は足元の小石を拾って、木の枝にいるドロボー猫らのほうへと投げつけた。
カサッ!
理不尽な衝撃を受けた葉っぱが不機嫌そうに葉を揺らす。
少年の投球は標的から離れた枝葉をかすめただけやった。
当然のことながら猫どもはビビリもせえへんし、悪態までついてくる始末や。
ねこねこファイアー組のヤツらは、枝にぶら下がっていた袋を前足でちょいとつつきだした。
獲物を
不憫な買い物袋は真っ逆さまに落下して、ヨレヨレのタオルみたいにクシャッとなった。
母親は足音をダダダと鳴らし、植え込みのほうへ駆け寄っていく。
猫の目にはちっとも早足には見えへんビミョーな速度や。せやけど、人間にしたらそこそこなんやろな。
地面に落ちた袋を拾い上げると、木の枝にいる猫どもを警戒しながら子どもらのもとへ戻っていく。
ふくれっ面の少年は、またしても小石をドロボー猫に向けて放り投げた。
まぁどっちみち、小石は見当違いの生垣を打っただけで終了や。
母親は子どもたちの手を取り、半ば引っ張るようにして歩き出しす。
子どもたちは何度か後ろを振り返ったけど、互いの距離がひらくとそれもやめて歩む速度を早めていった。
親子の姿が曲がり角の奥へ消えると、ボスは視点を転じ、木の上のドロボー猫らを睨みつけた。
インテリ兄さんも不愉快そうに同調する。
猫って生きモンは、高い所に登ってマウントとることもある。
相手が並みの猫ならまだしも、ウチの親分に対抗したところで、むなしい上下アピールにしか見えへん。
怪しい集会への参加意欲のない猫たちは、行きたくない意思を露骨にさらけ出す。
ピコーン!
そのときワイの頭に閃きが生まれた。
自分で言うのもなんやけど、ええ案浮かんだで!
何が閃いたかは、次回までのお楽しみや!
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