第120話 動揺
文字数 1,426文字
いきなり
判断に困ったボクは、言葉に詰まってしまう。
しどろもどろになるボクを見て、熊介さんは不愉快そうだ。
できるだけうろたえてるのがバレないようにと、おしりに力を入れてシッポを動かさずに努めてみたけれど、無駄だったみたいだ。
痛いところを突かれて、ボクは気恥ずかしさに縮こまる。
こんなところをヨツバちゃんに見られたら、情けないって思われるかな……?
ヨツバちゃんのことが頭に浮かぶと、彼女に対する熊介さんの気持ちが余計に気になってきた。
おもいきって問いかけてみると……
予想もしてなかった返答にボクは仰天する。
熊介さんの言葉をシャットアウトするように、ボクは耳を伏せてしまいそうになる。
けれど、そんなことをしてる場合じゃなかった。
突然、聞き
と言いながらも、恐怖心のせいで体の動きがぎこちない。
だけど、ヨツバちゃんのことが心配だ。
ボクは勇気を
ところが――
熊介さんがボクの正面にまわり込んで、ストップをかけてきた。
〝どうせ役に立たない〟
胸を刺す言葉を受けて、足が固まった。
でも、熊介さんが悪いんじゃない。
指摘のとおり、ボクはひ弱で役に立たない猫だ。
自分でも否定できないほど的を射ている……。
ボクはやるせない思いを抱えながら、走り去っていく熊介さんを見送った。
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