第68話 危険な戦い④
文字数 1,629文字
小屋の中へ落下していった紅を遠巻きに眺めながら、気分よく高笑いする。
と、悦に入っていたのも束の間――
グラグラ……
グラグラ……
グラグラグラグラッ!
なんてことにゃ……!
ウチは事前に紅の巻き添えを避けるため、別の骨組みへ移っていたというのに。
まさか、こっちの足場にまで被害が及ぶにゃんて――!
もはや足元の木材は支えとしての機能を失って、倒れようとしていた。
体を支える骨組みが耳障りな
ウチの体重を預けていた木が地面に向かって激しく
語れば長く感じるけどにゃ、時間にしたらあっという間にゃも。
こうなったら
ウチはチーター
違和感をおぼえて下を見れば……
途端に視界が一面の水となった。
背筋にゾクリと悪寒が走る。
真下は一面の川だった。
慌ててジタバタするけれど、支えを失った体はむなしく宙を漕ぐばかり。
とはいえ、回避する
ボッチャ~ン!
派手なしぶきをあげ、体が川面に打ちつけられる。
ちめたいにゃ……。
全身が水で汚されてる感じがするにゃも……。
いつの間にか建物から出てきた紅が、川べりに立って
紅の言うように、猫は三半規管がめちゃくちゃ優れているのにゃ。
だからウチが水面に飛び込むときもうまく身をひねっているから、衝撃は少ないはずなんだけどにゃ。
にゃんか、足がちょっとおかしいような……?
うにゅ?
やっぱり片足がオカシイにゃ……
まさかの事態発生にゃも。
さきほどから気になっていた後ろ足が、突然ひきつった
ピンチにゃも!
足が思うように動かせなくて、体が水に沈んでしまいそうになるにゃ。
水面でジタバタもがくウチを後目に、紅は哄笑しつつ身をひるがえして去っていく。
って、叫んだところで誰が助けに来るわけもにゃし……。
そのときふと対岸の木に止まっていたカラスが、このマウティスを冷やかすように「カァ~」と間の抜けた声で鳴いた。
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