第21話 あのコはどんなコ？
文字数 975文字
さて――
不毛な多数決を経て、みんなで新入りの妹さがしが決まった。
俺が強引に押し切る形となったが、大抵の猫たちは納得しているようだ。
ま、力づくってわけじゃねーし、問題ねぇだろ
んじゃさっそく行くか、と言いたいところだが……
捜索にあたって、一つ困ったことがある。
なぁ新入り。行方知れずの妹をさがすのは構わねぇけどよ
新入りが心配そうな顔で問いかけてくると、
親分、とっとと行きますニャー！
罰を恐れた下っ端たちが、てのひら返しで急き立ててきた。
それを無視して、マウティスがちょうど俺の言わんとしていたことをツッコんでくる。
さがすっていっても、〝手がかり〟がないんじゃ、どうしようもにゃいにゃよ
ああ、そうだ。
俺の気がかりは、それなんだよ
インテリもヒゲをピクリとさせて同意する。
妹の特徴がわからないことには、探しようがありませんね
だよなぁ
なにせ俺たちは新入りの妹の姿をまったく知らないのだ。
見たこともないヤツをさがすのは
ニャーニャー鳴いてくれてたら話は早いんだけどねぇ
せやなぁ。
居所さえわかれば楽なもんや
幸い俺たち猫は耳がいい。
騒音のないエリアなら、かなり離れた先でも猫がひと声鳴けば聴き取れる。
だが――
バツグンの聴力を誇ってもよぉ、相手の声がわからないんじゃ判別しようがねぇぜ
たしかに、そうよねぇ
さすが親分さん！
まさにそのとおりですわ
なぁ新入り
は、はい！
オメェの妹の――ミネってヤツの特徴を教えてくれ。
できるだけ詳しくな
え、えーっと、そうですね……
ミネの体はボクとは違って、黒と茶色のシマシマ模様です。
けれど全身の下半分だけは、雪みたいに真っ白です
いわゆる〝キジ白〟ってやつやな
は、はい！
まさにそれです……！
で、えーっと、シッポはまっすぐ伸びていて、鼻はピンクです
わりとよく見かけるタイプのコね
ウチの近所にも、似たような柄の猫がイマスヨ
おぉっ？
もうオジイサンですケド
なんや、ジイさんかい
子どもや高齢者に関わらず、キジトラは
このジロリ町だけでも相当な……
話を聞くかぎり、新入りの妹に目立った特徴はねぇ。
こりゃあなかなか骨が折れそうだぜ……。
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