第１１話 問題をかかえた新入り猫
文字数 962文字
うめぇぇぇぇぇぇっ！
すさまじい豹変ぶりだな
俺はチュールにがっついてる新入りに問いかける。
なぁ新入り。
オメェはなんでそんなにハラ減ってんだよ？
ハァーうめぇ！
うめぇよぉぉぉぉぉ！
がっついてねぇで話聞けって
肉球でチュールの切り口をピシャリと押さえつけ、新入りに食べるのをやめさせる。
ハッ！
すす、すいませんっ、ボス！
つ、つい食べるのに夢中になってしまって……その……
俺が何て言ってたのか、ろくに耳に入ってねぇってか？
すすす、すみませんっっっ！
ったく、どうしようもねぇな
おい、インテリ。
続き頼むわ
御意
そこのキミ、ボスに空腹の理由をたずねられたんだ。
なぜなのか、理由を答えてみなさい
じ……じつはボク、飼い主に捨てられたんです
捨てられた――。
ということは、誰かに飼われていたんだね？
そ、そうです。
３丁目に住むご主人のところで子猫の頃からお世話になってました
３丁目？
もしかしてそいつは、
あ……ハイ。
そうです
やっぱりな。
アイツらならやりかねん
知ってるにゃよ。
ゲゲドウ一家は、ウチら猫同士でも評判がよくにゃいのにゃ
ひょ……評判がよくない？
あの一家は、飼っている動物が子犬や子猫の頃は可愛がっても、成長すると興味をなくして捨てると聞いている
えぇっ、そんなぁ……！？
ホンマやで。
以前飼ってた子犬も、でかくなったら捨てられてたわ
あれはかわいそうだったわね……
しばらく河川敷をウロついてたけど、その後人間に捕獲されて保健所行きになったのよ
保健所……？
うにゃ。
あそこに連れて行かれたらおしまいにゃ
動物たちが処分されるにゃも
エエ、ワタシの生まれた米国にもありマス
ホケンジョは、とても恐ろしいところデス
そんなそんな……！？
飼い主がそれを知ってて、ボクを捨てたなんて……！
まぁ大多数は辛抱強く面倒見てくれるらしいが、たまにそーゆうロクデナシも混ざってる
オメェは運悪くそのハズレに当たっちまったのさ
飼い主は選べませんからね
……うぅ……
新入り猫は瞳に涙を滲にじませる。
猫だって泣かないわけじゃねぇ。なんらかの刺激を受けると、涙を流すことだってあるのさ。
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