第60話 狙った獲物は逃がさにゃい
文字数 1,901文字
捕らえたカエルはついでに
ウチが空腹を満たしているあいだに、モブニャンは池のほとりで魚捕りを始めたにゃ。
ウチはあえてそこには近づかずに、草地の上に丸まって様子を
ころりんほわぁ~ん……。
陽射しを浴びて気持ちよくなって、あたかも居眠りしているように見せるのがポイントにゃ。
ほどにゃくすると――
まるでひと仕事終えたみたいに、小さく息を吐くモブニャン。
こちらの様子をチラリと横目で確認すると、そろーりそろーりと歩みはじめた。
思惑どおり、さっそく移動開始のようにゃ。
ウチはサッと身を躍らせ、跳躍と疾走の合わせ技でモブニャンの正面に回り込む。
モブニャンは指示に従って、池からやや離れたところの茂みに座りこんだ。
相手の気配に意識を向けながらも、ウチは池を観察して魚影を探す。
手ごろな魚に目星をつけると、狙いを定めて身構えた。
チャンスは一瞬にゃ!
鋭利な爪を立て、拳で水を叩く。
ピシャー……ッ!
狙った魚に衝撃を与えると、銀色の
機を逃さず、鋭い牙で喰らいつく。
ちょうど用足しを終えたモブニャンが駆け寄ってきた。
口にくわえたままだとしゃべりづらいから、一度魚を地面に置いて説明するにゃも。
なんでもないわけがないにゃ。このバカちくめ!
早くこの場を去ろうと焦ってるのにゃよね。
だったらもっとゆっくり食べてやるにゃも。
魚を食べつくすと、ウチは手頃な大きさの石の上にコロンと横たわった。
同意しつつ、さらに大あくびを一つ。
簡単に毛づくろいを済ませると、だらーんと姿勢をくずし、やがてイビキをかいてみせる。
にゅふふ……
案の定、
次第に足を速めて、モブニャンはどんどん池から遠ざかっていく。
すでにモブニャンの前足は池の水にグッショリ浸かって、独特のニオイがしみついてるにゃも。
自身の体臭に池の水の臭気が加わって、ニオイはいっそう強まったにゃ。
そのニオイを追えば、追跡などたやすいこと――。
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