第23話 みんなでスメルチェック
文字数 1,117文字
――スメルチェック――
ニオイ調査することを俺たちの組ではそう言う。
いまさら言うまでもねぇことだけどよ
ニオイを嗅ぐのは、情報を得るための重要な行為の一つでもあるんだぜ
すぐ済むからよ
ボス。
一斉に近づくと窮屈なので、スメルチェックは順番に行いましょう
そうだな。
密集すると余計なニオイも混ざるしな
んじゃ、マウティスと、そばにいるキンメから始めてくれ
うにゃも
ほいさ
新入りの体に付着したニオイを分析するため、マウティスとキンメが鼻を働かせる。
俺を含め、他の猫たちはそれをやや離れたところから見守った。
クンクン……。
クンクン……。
…………
…………
どっ、どうですか……？
ビミョ～にゃね
えっ！？ ビミョ～！？
土とか葉っぱとか砂埃とか、だいぶいろんなニオイが混ざってるにゃも
どのへんにおまえさんの妹風味があるのか、ようわからんわ
そうですか……
次、ミミとヨウ。
新入りのニオイを嗅いでみろ
マウティスとキンメに入れ替わって、ミミとヨウが新入りに近づく。
クンクン……。
クンクン……。
…………
…………
その生きる気力をすべて奪われたような表情からして一目瞭然だ。どうやらあまりいいニオイはしないらしい。
しかし妙だな。
捨て猫とはいえ数日前まで家で飼われてたのだから、悪臭にまみれてることはなさそうなモンだが……
Ｏｈ……
なんか、すごく臭いわねぇ
……す、すみません……
オナラみたいなニオイがシマス
オナラァ！？
ボッ……ボクはしてないですよ！
スマン、ワイや。
つい我慢できずにこいてもうた
ミミとヨウはオナラのニオイを蹴散らそうと、長いシッポをブンブン振りだした。
やめろって。
生ぬるい風に運ばれて、こっちにまでひでぇニオイが漂ってくるじゃねぇか
ふにゃん。
周囲が臭すぎて、スメルチェックどころじゃないにゃ
まぁ気持ちはわかるけどよ。
ヘタレてねぇで、新入りのスメルチェックを続けろ
ちっ、情けねぇな！
んなことで寿命が縮むかよ
いいかオメェら。
こんなときこそ尻込みせずに相手の体を隅々まで調べるんだ！
顔や体毛だけでは不十分なんですか……！？
当たり前だ、新入り。
ホンモノのニオイってぇのは、ケツから嗅いで調べるモンなんだぜ
えええっ！？
おしりですかっ！？
そーだよ、新入り。
さっさと尻を出せ！
そ、そんな……！
ボスにおしりのニオイを嗅がれるなんて……
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