第34話 噂のおネコさん④
文字数 1,789文字
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めまいがしてるみたいに立っているのが
問いかけると、ヨツバと名乗る女のコは切実な表情で語りだす。
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悲しげな嘆願が鳴き声となって辺りに響きわたる。
僕は居てもたってもいられず、手足にグッと力を込めてボスに訴えかける。
一瞬とはいえ、妹のことを忘れるなんて……。
ウッカリしていた自分に嫌気が差す。
ボスは不機嫌そうに目を閉じたまま、前足の肉球をペロリと舐める。
恥ずかしさのあまり、条件反射的に言い返してしまった。
ボスは無言のまま、前足に絡んでいた小石を舌ですくい取って、ペッと吐きだす。
涙ぐむ彼女を見ていると、ボクの胸は疼いた。
本音を言えば、さっきからヨツバちゃんに近づきたくて仕方がない。
彼女のそばに寄り添って、淡い色の毛につつまれた頬をそっと舐めてあげたくなる。
認めたくないけど、たしかにそのとおりかも……!
ガサガサッと草花がせわしなく揺れた。
唐突に、茂みの中から体の大きな猫が駆けてくる。
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