第141話 真価
文字数 1,668文字
マタタビフィーバーの子どもたち。
すっかり酔いのまわった子どもたちを目にして、父猫は動揺する。
紅は俺のツッコミを無視して、
いくつかの管や
木登り上手の猿さえもその移動速度に舌を巻きそうだ。
ろれつのまわらない返答。
子どもたちはすっかりマタタビにやられて、壁にだらしなくもたれかかり、焦点の定まらない視線を宙に向けている。
それでもマタタビへの執着は捨てきれないのか、口にくわえた小枝をはむはむしている状態だ。
紅は、メデアとイソルダの
と、信じきって断言したものの……
子どもたちの過度な要求は、尽きることはなかった……。
すると、それまで様子を見ていたトウが、しびれを切らしたように会話に交ざりこむ。
念のためおさらいしておくと、インテリと交戦中だったトウは、マタタビの効果が切れはじめた。
たちまち劣勢に追いこまれ、あとがなくなったところで、紅
トウが近づいてくると、紅はウンザリしたように相手を
語気を強めて
紅は高らかに宣言し、足元のマタタビへ口を寄せる。
紅は、俺とトウのどちらのリアクションも無視して、マタタビの小枝を2本ともくわえ込んだ。
バキバキバキッ!
尖った歯でマタタビの小枝を豪快に噛み砕く。
そんなに柔らかいもんじゃないはずだが、何度か
紅にまたたく間に変化が起こった。
ギラギラと瞳が燃えて、背後に炎が揺れる――
そんな
紅は俺を見据えながら
あえて弱点となる腹部を晒してくるのは、よほどの自信があるからだろう。
悠々と俺を見下ろしながら、紅は
まるで自分がすでに勝利者だと宣言するかのように――
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