第157話 本気の力③
文字数 1,779文字
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一撃で仕留められるか、激しい連打によるメッタ打ちか――
好きなほうを選べと提案してやったにもかかわらず、紅は選択を拒否してきやがった。
そう――
野性の高まりは、怒りとともにやって来る。
まるで体に悪魔が宿ったかのように強大な力が湧き、制御を失うほどに
衝動的に体が動いていた。
俺は手足を骨組みにつける同時に走り出す。
細い足場でも
一瞬で間合いを詰め、攻撃範囲に入る。
煮えたぎる熱を拳にのせて放つ――!
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紅は攻撃を回避するべく、巧みなフットワークを見せた。
だが、俺の拳はそのさらに上をゆく。
完全にかわしきるのは不可能だ。
なにせ俺のパンチは、吹き荒れる嵐のごとき速度を持つ。
容赦なく打ちつける衝撃――まさしく
ついに紅が拳の嵐に巻き込まれた。
指先から伸びた凶器が
ダメージを受けながらも、紅は冷静だった。
俊敏に別の骨組みへと渡って、足場の広めな金属板に跳び移る。
それから身を
さすが
だが、俺の能力と経験はそれ以上だ。
まずは紅のいる場所へ移動する。
そして二足立ちで上体を伸ばし、腹を見せつけるような姿勢をとった。
紅のいうように、後ろ足だけで立つ仁王立ちは欠点が目立つ。
安定性を欠くだけでなく、腹や首などの急所をさらけ出すからだ。
けれども利点もある。
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俺が仁王立ちする目的は、両手使いの特権をフル活用したいからだ。
後ろ足だけで立つことで、空いた両手を思う存分使える。
ついでに言うと、相手が弱点丸出しのポーズに釣られて、攻撃を仕掛けてきやすくなるメリットもある。
なにせ猫は持久力に乏しい。
長期戦に持ち込むつもりのない俺としては、ベストな構えだ。
紅は俺の挑発を受けて、跳びついてきた。
伏せ体勢だった紅は、体を下から上へバネのように躍動させて襲いかかってくる。
余裕を崩さず、いましがた紅の口にした発言をそのまま返して迎え撃つ。
紅の狙いは、おそらく俺の拳だ。
予想どおり、紅はこっちに跳びついてくるや否や、両手をすばやく動かした。
バシッ!
紅は俺の右手を上下に挟んで押さえ込む。
それは
紅は捕らえた手に噛みつこうと、大口を開けて肉薄する。
右がふさがってるなら、左で殴りゃいい。
俺は空いている左腕をブンッと振る。
紅の脇腹に、おもいきり拳を叩きつける。
ドムッ!
紅を襲う疾風の一撃。
百戦錬磨と恐れられたボス猫の口から、苦しげな吐息が
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