第51話 ワルどもの伝言②

文字数 1,471文字




 突然やけど、そこのキミ!



 ある日いきなりワルそーなヤツらに、闇の集会に来いと言われて、「じゃあ行く!」って決断する?



せえへんやろ?


なんらかの圧力でもかけられへん限り、いざ出発とはなりにくいはずや




 さて、ほんなら話を戻して――



親分さん!

ワイは(ひらめ)きました!



いったい何が閃いたってぇんだよ?



親分さん、ワイは思ったんです!


いっそ怪しい集会に、行かんかったらええんです!



コイツらの誘いにのるなと?



そうです!

元々ワイらは自由気ままな猫ですし、そない危険な集会に参加せなあかん理由もないですやん



それもそうね!



ワタシも同感デス!



お前さん、いいところに気づいたな



たしかにキンメの言うとおりだ



ケッ!

生意気な腰抜けどもめっ! 



さては〝闇の集会〟の恐ろしさに怯んだな!



アホか!

一方的に決めつけんなや!



アホ言うなっ!

所詮、ビビりの集まりのくせに!



やーい、腰抜け!

ジロリ組は全員臆病者~!



見え透いた挑発を仕掛けてくるとは



そんなテにひっかかるか!

ジロリ組をナメたらアカンで!



うにゅにゅ~っ!


腰抜けや怯んだなどと愚弄されるのは我慢できませんニャー!



激しく同意ですっ!

売られたケンカは買うべきなのでありますっ!



はっはっはっ。そのとーり!

みんなで殴りに行こう!



めっちゃ策略にのってるし!


ってか、副ボスさんまで何言うてるんですか!



え?

だって言われっぱなしはムカつくし、ぶっ飛ばしたくなるじゃん?



まぁ気持ちはわかりますけど、そこはグッと(こら)えてくださいよ



みだりに挑発にのるのは愚かなこと



そうだ。

くだらねぇ待ち伏せのために、俺らジロリ組がわざわざ突撃するのはバカげてる


おれはボスとして、大事な仲間を危険な目に遭わせるわけにはいかねぇんだ!



さすが親分さん!

ワイらのことも考えてくれてるなんて!



下っ端でも仲間……!



だ、大事な仲間……!



キュン……



どさくさに紛れて胸キュンしてんじゃないよっ



まぁ、ミミさん落ち着いて



ふっふっふっ



くっくっくっ




 突然、愉快そうに笑いだすドロボー猫たち。



なんやコイツら。

急に高笑いなんぞキメ込みおって。情緒不安定か?



闇の集会には行かない――


おまえらがそう答えることは想定済みだ



なにっ!?



想定済みやと!?



オマエら、新入りの妹さがしをしてるんだってなァ?



ム……?

なぜそれを知っている?



その妹なら、ねこねこファイアー組が預かったぞ



預かったぁ!?



エエエエエエエエッ!?



本当にコウくんの妹さんは、ねこねこファイアー組のヤツらに捕まっちゃったのね……!



アンタがねこねこファイアー組の仕業だとか、余計なことを言うからよ



いや、さすがにそれは関係ないやろ



どーだか。

口は災いの元っていうからねぇ



はわわわわっ! 

ミミミ、ミネがぁ~~~っ!



いったいなぜだ!?


なぜ俺たちが新入りの妹をさがしていることを知っている!?



さあな~



おれたちは物知りだからよ~




 動揺せずにはいられへんワイらと違って、ねこねこファイアー組のヤツらは余裕綽々よゆうしゃくしゃくや。



 二つ並んだ生意気な顔が、高いところからワイらを見下ろしつつ命令口調で告げてくる。



とにかく、妹に会いたければ夜更けまでに闇の集会に来い



場所は、西の廃工場だ。

来なければ妹の命はないと思え



いいい、妹の命は、ないぃぃいぃぃっ!?




 絶叫する新入り。



あぁ~~~あぁぁぁぁ!


もうダメだぁ~~~!

終わったぁ~~~~~~っっっ!








 アカン!

 新入りはパニック大爆発寸前や……!



 せやけど、そうして激しく波立つのも無理あらへん。



 ただの迷子かと思ってた妹が、別の組のヤツらに連れ去られてたんやから――



こりゃどエライことになってきたで~!


























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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