第140話 珍事

文字数 1,236文字





 インテリに一杯食わされたトウ。



 ふっ飛ばされた体を起こしながら、憎々(にくにく)しげに(うな)る。



クッソォ!

ナメたマネしやがってぇ~~~!



ナメたマネってか、オメェの自業自得だろ




 俺のつぶやきを耳にして、トウは血管のブチ切れそうな勢いで吠えたててきた。



うるせぇーーーっ!

みんなぶっ殺してやるぅーーーっっっ!




 怒りを体じゅうにみなぎらせ、いまにも跳びかかってきそうな剣幕(けんまく)だ。







うるせーヤツだぜ




 マタタビで興奮状態のトウは、怒りに火がつくと歯止めが効かなくなるようだ。



 殺意全開モードで、インテリへ跳びかかっていく。



ありったけの力でテメーを噛み砕いてやる~~~っ!




 猫の噛む力は、人間を凌駕(りょうが)する。



 急所を噛みつかれることは、みずからの死を招くようなモンだ。だからみんな必死になって避けようとする。



 致命傷にもなる大技を当てられるか(いな)か、それが勝負のカギとなるのだが……



死ねぇぇぇぇぇぇっ!




 トウは口が裂けそうなほど大きくひらいて、インテリに肉薄した。



無駄なことを!




 その言葉どおり、噛みつき攻撃はあっけなく空振りに終わった。



 攻撃を軽やかに回避され――



 挙句にトウはインテリから反撃の拳をピシッと(ひたい)に浴びる。



ギャッ……!




 ふらつく体。



 どうにか踏ん張って転倒を(まぬが)れるが……



トウのヤツ、様子がヘンだな




 これまでと比べて、やや動きが鈍い。



それで渾身(こんしん)の一撃をくり出したつもりか?

さきほどより、攻撃が遅くなっているぞ!



うぐぐっ……チチチ、チクショーめっ! 

い、いまのは……たまたまうまくいかなかっただけだっ!



さては、マタタビの効果が薄れてきたのだろう!



んなあああっ!?



フッ、図星(ずぼし)のようだな!



うっせー!

図星なんかじゃねーし!




 インテリの指摘を否定しつつも、トウは慌ててメデアとイソルダに呼びかける。



ボスJr(ジュニア)! 

それをこっちに――!




〝それ〟とは、マタタビの小枝のことだ。



 トウが頼りにするマタタビの小枝は、メデアとイソルダ姉弟の足元に置かれていたはずだが……



ん? マタタビが見当たらねぇぞ。

どこいった?




 視線を壁際にいる子どもたちのほうへ移すと……



あぁ!? 

どーゆうこった!?




 俺の目にトンデモナイモノがとび込んできた。




へろへろ~


ニャウニャウニャ~ウ




 あからさまに酩酊(めいてい)状態の姉弟(きょうだい)猫たち。







……なんだよ、この図。

ふたりとも、マタタビでラリッてんじゃねぇか!



しまった……!


マタタビの小枝のせいで、酔いがまわってしまったか……!








どもー、アイ・キャットでーす


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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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